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ジムのボルダリングやリードクライミングに通ってしばらく経つと、「そろそろ外の岩場(外岩)にも行ってみたい」と考える人は多いはずです。ですが、いざ外岩デビューを検討し始めると、真っ先にぶつかる壁があります。それが「トポ」と呼ばれる岩場ガイドブックです。トポには、岩場までのアプローチ、ルートの位置、グレード、注意点などが専門的な記号や独特の言い回しでびっしりと詰め込まれており、ジムの壁のようにホールドが色分けされているわけではありません。何の予備知識もなくトポを開くと、何が書いてあるのか分からず、結局「誰かに連れて行ってもらうまで外岩デビューできない」という状態が続いてしまう人も少なくありません。この記事では、外岩ガイドブック(トポ)に載っている情報を、ジム上がりの初心者〜中級者が自分で読み解けるようになることを目標に、記号の意味からグレード表記の違い、アプローチ情報の読み方まで、順を追って整理しました。最後には、実際に外岩デビューの際に手元に置いておきたい実在のガイドブックも紹介しています。
この記事でわかること
- トポとは何か — ジムの「壁」とは違う情報の詰まった地図
- まずはトポの構成を俯瞰する — 岩場全体図・エリア図・ルート図の3階層
- ルート図の記号を読み解く — ボルト・支点・グレードの表記
- グレード表記の違いに戸惑わないために
- アプローチ情報の読み方 — 迷わず、揉めないために
- トポの発行年に注意する — 「情報が古い」ことは珍しくない
外岩デビューに手元に置いておきたいガイドブック4冊
ここからは実際の候補です。日本国内の主要な岩場を網羅した書籍を中心に、地域別・出版社別に特徴の異なる4冊を紹介します。掲載こちらの金額は記事作成時点のものです。状況により前後することがあります。購入前に商品ページで最新の価格・在庫・版(増補改訂版かどうか)を確認してください。
4冊とも、外岩デビューの際にまず候補になりやすい「日本100岩場」シリーズと、別の出版社による「日本の岩場」シリーズという組み合わせにしました。まずは自分の生活圏からアクセスしやすいエリアのトポを1冊選び、この記事で紹介した記号・グレード表記・アプローチ情報の読み方を実践しながら読み込んでみるのがおすすめです。
いずれのシリーズも、増補改訂版・最新版であるかどうかによって収録エリアや反映されている情報が異なります。購入前に商品ページの版表記を確認し、できるだけ新しい版を選ぶようにしてください。
複数冊を使い分ける場合、シリーズによって記号のルールが異なる点には注意が必要です。「日本100岩場」シリーズ内であれば共通のフォーマットで読み進められますが、「日本の岩場」シリーズなど別の出版社のトポと併用する場合は、それぞれの凡例ページを都度確認する習慣をつけておくと、記号の読み間違いを防げます。

フリークライミング日本100岩場2 関東 増補改訂新版 御前岩ルート収録(北山真編/山と溪谷社)
参考価格2,000円
関東エリアの主要な岩場23か所と、その他20か所を収録した定番シリーズの関東編。国内屈指の難ルートを擁する奥多摩・御前岩の情報も収録された増補改訂新版です。首都圏から日帰り圏内の岩場が多く、外岩デビュー先としても選ばれやすいエリアです。
ここが良い
- 首都圏から日帰りで通える岩場が中心で、外岩デビュー先を探しやすい
- シリーズ内でも版を重ねており、比較的新しい情報が反映されている
- エリア図・ルート図・アプローチ情報がひとまとめになっており、この記事で解説した読み方をそのまま実践しやすい
注意点
- 発行から時間が経つとリボルトやクローズ情報が変わっている場合があり、最新情報は別途SNS等での確認が必要
- 記号や表記に慣れるまでは、最初のうちは読み解きにやや時間がかかる

フリークライミング日本100岩場3 伊豆・甲信 増補改訂新版(北山真編/山と溪谷社)
参考価格2,000円
伊豆・甲信エリアの主要な岩場12か所と、その他5か所を収録。海沿いの岩場から標高の高い岩場まで、バリエーション豊かなエリアがまとまっています。関東エリアと合わせて、首都圏から足を延ばしやすいエリアとして人気があります。
ここが良い
- ホールドが持ちやすく登りやすいとされる岩場と、チャレンジングな岩場の両方を収録しており初心者〜経験者まで使える
- 関東編と同じシリーズのため、記号の読み方や表記のルールを揃えて使える
注意点
- エリアによっては公共交通機関でのアクセスが難しく、車での移動が前提になる場合がある

フリークライミング日本100岩場4 東海・関西 増補改訂最新版 ナサ崎・武庫川収録(北山真編/山と溪谷社)
参考価格2,000円
東海・関西エリアの岩場を収録したシリーズ第4弾。関西方面からアクセスしやすい岩場が中心にまとめられており、関東・伊豆甲信編と同じ記号・構成で読み進められるのが特徴です。
ここが良い
- 関西圏からアクセスしやすい岩場を中心に収録しており、地域のクライマーにとって定番の1冊
- シリーズ共通のフォーマットで、複数エリアを比較しながら計画を立てやすい
注意点
- 関東在住者にとってはアクセスが遠い岩場が中心になる

日本の岩場 上巻 改訂版(菊地敏之著/白山書房)
参考価格2,000円
国内アルパインクライミング・フリークライミングの情報を集めた「日本の岩場」シリーズの上巻。「日本100岩場」シリーズとは異なる出版社・著者による編集で、支点の状況やアプローチ情報がより詳しく記載されているとされ、複数のトポを見比べたい人にも向いています。
ここが良い
- 「日本100岩場」シリーズとは異なる編集方針のため、同じ岩場でも記載の粒度や視点の違いを比較できる
- 支点やアプローチについて、より踏み込んだ記述があるとされ、経験を積んだあとの参考書としても使える
注意点
- 記号や表記のルールが「日本100岩場」シリーズと異なるため、両方使う場合は凡例をそれぞれ確認する必要がある
- 版によって発行年が古いものもあり、購入前に改訂版かどうかの確認が必要
■ スペック比較表
| 商品 | フリークライミング日本100岩場2 関東 増補改訂新版 … | フリークライミング日本100岩場3 伊豆・甲信 増補改訂… | フリークライミング日本100岩場4 東海・関西 増補改訂… | 日本の岩場 上巻 改訂版(菊地敏之著/白山書房) |
|---|---|---|---|---|
| 参考価格 | 2,000円 | 2,000円 | 2,000円 | 2,000円 |
| 購入 | ||||
| 著者・編者 | 北山真(編) | 北山真(編) | 北山真(編) | — |
| 出版社 | 山と溪谷社 | 山と溪谷社 | 山と溪谷社 | 白山書房 |
| 判型・ページ数 | A5判・152ページ | — | — | — |
| 収録エリア | 関東(群馬・埼玉北部、奥武蔵・奥多摩ほか) | 伊豆・甲信(静岡県伊豆、山梨・長野の山岳エリアほか) | 東海・関西 | — |
| シリーズ | — | 日本100岩場(全5巻) | — | クライミング・ガイドブックス「日本の岩場」上巻 |
| ページ数 | — | — | 199ページ | — |
| 著者 | — | — | — | 菊地敏之 |
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トポとは何か — ジムの「壁」とは違う情報の詰まった地図
「トポ(topo)」とは、もともと地形図を意味する英語「topography」に由来する、クライミング業界での岩場ガイドブックの通称です。岩場の写真やイラストの上にルート(登る線)を線で示し、そのルートのグレード、名前、ボルトの本数や支点の状態、注意点などを書き込んだものを指します。日本の主要な岩場については、書籍として出版されているトポのほか、近年は岩場によってウェブサイトやSNSで補足情報が公開されているケースも増えてきました。
ジムの壁では、ホールドの色やテープで課題が視覚的に区切られているため、「どこからどこまでが1つの課題か」を見誤ることはほとんどありません。ところが外岩では、岩肌の色も質感もルートごとに大きく変わらないため、パッと見ただけではどこからどこまでが1本のルートなのか判断できません。トポは、この「見た目では分からないルートの境界線」を示すための、いわば外岩における唯一の地図です。トポを正しく読めないまま岩場に行くと、隣のルートに間違って取り付いてしまったり、想定より難しいグレードのルートに挑んで危険な思いをしたりすることにもつながります。
また、トポには単に「どこを登るか」だけでなく、「その岩場にどうやってアクセスするか」「駐車できる場所はどこか」「季節によって登れない期間はないか」「地域住民との取り決めで守るべきルールはあるか」といった、安全と岩場を維持していくために欠かせない情報も詰め込まれています。ジムであればスタッフに聞けば済むようなことも、外岩では基本的にトポと現地の情報板、そして経験者からの口伝えだけが頼りになります。
この記事で「トポの読み方」を扱うのは、単に知識として面白いからではありません。トポを正しく読めるということは、外岩というジムとはまったく異なるフィールドで、自分の身を自分で守りながら楽しむための最低限のリテラシーだからです。逆に言えば、トポさえ読めるようになれば、外岩デビューへの心理的なハードルはかなり下がります。
この記事の前提
外岩は、ロープワークやビレイ技術、支点の見極めなど、トポの読み方以外にも習得しておくべき技術が多くあります。この記事はあくまで「トポという書類の読み方」に絞った内容で、実技面の安全確保については、経験者の同行や講習会への参加を必ず検討してください。
まずはトポの構成を俯瞰する — 岩場全体図・エリア図・ルート図の3階層
多くのトポは、情報の粒度が異なる3つの階層で構成されています。この階層構造を意識するだけで、初めて見るトポでも迷いにくくなります。
一番大きな階層が「岩場全体図」です。多くの場合、県道や登山口からのアクセス道路、駐車場の位置、岩場全体のおおまかな配置が示されています。まずここで、自分がどのルートで現地に向かうのか、車をどこに停めるのかを確認します。
次の階層が「エリア図」です。一つの岩場は、複数の「エリア」や「セクター」と呼ばれる区画に分かれていることが一般的です。エリア図では、岩場の中でどのエリアがどこにあるか、エリア間の移動にどれくらい歩くかといった情報が示されます。初心者向けのエリアと上級者向けのエリアが離れた場所にあることも多いため、目的のエリアがどこにあるかをここで把握しておく必要があります。
最も細かい階層が「ルート図」です。岩の写真やイラストの上に、実際に登るラインが線で描き込まれ、それぞれの線にグレードや名前、注意事項が添えられています。外岩デビューの際に最も時間をかけて読み込むべきなのが、このルート図の部分です。
初めてトポを見るときは、いきなりルート図の細部を読み込もうとせず、まず「岩場全体図→エリア図→ルート図」の順に大きい情報から小さい情報へとたどっていくのがおすすめです。この順番を意識するだけで、情報量の多さに圧倒されにくくなります。
ルート図の記号を読み解く — ボルト・支点・グレードの表記
ルート図には、その岩場・出版社ごとに多少の違いはあるものの、おおむね共通した記号のルールがあります。ここでは特に外岩デビュー時に押さえておきたい記号を紹介します。
■ 線の種類(ルートのライン)
実線はそのラインに沿って登ることを示し、破線や点線は「アプローチ的な区間」「ルートの一部が曖昧な区間」を示すことが多いとされています。ラインの起点(下端)が、実際に取り付く地面の位置を表しています。
■ ボルトを示す記号(丸や横線)
スポートルート(あらかじめボルトが打たれたルート)の場合、ラインの上に丸や短い横線でボルトの位置が示されます。ボルトの本数が少ないルートは、落下時に地面や棚(テラス)に激突するリスクが高くなるため、初心者はまずボルト本数が多め・間隔が狭めのルートを選ぶのが無難とされています。
■ 終了点(アンカー)を示す記号
ルートの終了点には、ボルトとは異なる記号(二重丸やリング状のマークなど)が使われることが一般的です。終了点の形式(チェーンなのか、リングボルト2本なのかなど)によって懸垂下降やロワーダウンの手順が変わるため、事前に確認しておく必要があります。
■ グレード表記
ルート名の横やライン脇に、そのルートの難易度を示すグレードが記載されます。日本の岩場では日本独自のグレード表記(5.9、5.10aのようなデシマルグレード、または段級表記)が使われることが多く、ジムの課題グレードとは基準がまったく異なる点に注意が必要です。
■ ★(スター)マーク
多くのトポでは、ルートの人気度・おすすめ度を星の数で示しています。星が多いルートは登られている回数が多く、比較的ホールドが磨かれていて登りやすい・落石が少ないとされる傾向がある一方、混雑しやすい点には注意が必要です。
■ 注意マーク(!やRなど)
「支点の間隔が広く落下距離が大きい」「岩が脆く落石の危険がある」「進入禁止・クローズ中」といった注意事項には、感嘆符や特定のアルファベット(例えばR=ランナウト、X=危険度が高いなど)で警告が添えられることがあります。この記号を見落とすと、想定外の危険に遭遇するおそれがあるため、必ず凡例(記号の説明ページ)と照らし合わせて確認してください。
凡例ページは必ず最初に読む
トポの記号のルールは出版社や著者、岩場によって細部が異なります。同じ丸印でも「ボルト」を指す場合と「終了点」を指す場合があるため、本編を読む前に、必ず巻頭または巻末にある「記号の説明(凡例)」のページを確認する習慣をつけてください。
グレード表記の違いに戸惑わないために
ジムに通っている人が外岩トポを開いて最初に戸惑うのが、グレード表記の違いです。ジムでは「級・段」表記(1級、初段など)や、ジム独自の色分けが使われていることが多い一方、外岩のトポでは主に次のような表記が使われます。
フリークライミングのルート(リードで登る壁)には、日本ではアメリカ由来のデシマルグレード(5.9、5.10a、5.11cのような表記)が広く使われています。数字が大きく、アルファベットがa→dに近づくほど難しくなる仕組みです。ジムのリード壁が同じデシマルグレード表記を採用している場合は比較的イメージしやすいですが、ジムによっては独自の色・数字表記を使っていることもあるため、まずは自分の通うジムのグレード表記が外岩のどのあたりに対応するのか、スタッフや経験者に確認しておくと安心です。
ボルダー課題については、日本の岩場のトポでは段級表記(初段、1級、2級など)が使われることが多く、ジムのボルダリング課題のグレード感覚に比較的近いとされています。ただし、外岩のグレードはホールドの持ちやすさや岩質、天候による摩擦の変化なども影響するため、「ジムの何級に相当するか」を厳密に一致させることは難しく、あくまで目安として捉えるのが無難です。
一般的に、外岩のグレードは同じ数字・級であっても、ジムの課題より辛く感じられることが多いとされています。これは、ホールドが均一に磨かれていない、足の置き場所が分かりにくい、天候や湿度で摩擦が変わるといった外岩特有の要素が影響しているためです。外岩デビューの最初のうちは、自分がジムで登れているグレードより2〜3段階低いグレードのルートから試すくらいの心づもりでいると、余裕を持って楽しめます。
アプローチ情報の読み方 — 迷わず、揉めないために
トポのもう一つの重要な役割が「アプローチ情報」です。岩場までの行き方は、登山道や住宅街の細い路地、私有地に近い林道を通ることも多く、事前情報なしで現地に着いてから駐車場所を探すのは危険です。
- 1最寄り駅・インターチェンジからのアクセス方法(車・公共交通機関)と、所要時間の目安をトポで確認する。冬季閉鎖や夜間通行止めなど、時期によって通行できない道路がないかも合わせてチェックしておく。
- 2駐車場所の指定があるかを確認する。トポに「路上駐車禁止」「指定の駐車場以外は使用不可」といった注記がある場合、これは地域とクライマーの間で結ばれてきた取り決めであることが多く、絶対に守る必要がある。指定駐車場が満車の場合の対応方法も、可能であれば事前に調べておく。
- 3取り付き(岩場の下)までの徒歩ルートと所要時間を確認する。滑りやすい斜面や渡渉(川を渡る箇所)がある場合、トポにその旨の注記があることが多いため、服装や装備の準備に反映させる。
- 4岩場固有の季節規制・クローズ情報がないかを確認する。鳥類の営巣期間中はエリアごと登攀禁止になる岩場や、地域住民との合意で特定の曜日・時間帯のみ入山可能とされている岩場もある。トポの発行年によっては情報が古くなっている場合があるため、最新情報は岩場の管理団体やクライミングジムの情報掲示、SNSの現地情報アカウントなどで補完する。
アプローチのルール違反は岩場の閉鎖につながる
外岩は基本的に私有地や国有林、地域の管理する土地の中にあります。駐車マナーや立ち入り禁止区域を守らないクライマーが増えると、地域住民との関係が悪化し、岩場全体が立入禁止・クローズになった事例も過去に報告されています。トポに書かれたアプローチのルールは、次にその岩場を訪れる人たちのためにも必ず守ってください。
トポの発行年に注意する — 「情報が古い」ことは珍しくない
紙のトポは出版された時点の情報がベースになっているため、実際に岩場を訪れる時点では状況が変わっていることがあります。特に次のような点は、発行年が古いトポほどズレが生じやすい部分です。
ボルトの状態です。屋外に設置されたボルトは、経年劣化やサビによって強度が落ちている場合があります。近年、地域のクライマー団体によってボルトの打ち替え(リボルト)が行われた岩場も多く、トポに載っている支点情報と現地の実際の支点が異なっているケースも報告されています。可能であれば、その岩場を最近訪れた経験者やSNSの現地情報から、リボルトの状況を確認しておくと安心です。
駐車場やアプローチの状況です。道路工事や災害による通行止め、駐車場の閉鎖・有料化など、アプローチに関する情報は数年単位で変わることがあります。特に古い版のトポを中古で入手した場合は、最新の増補改訂版が出ていないか、出版社の公式サイトで確認することをおすすめします。
岩場そのもののクローズ・再開情報です。過去に閉鎖されていた岩場が、地域との交渉によって再びクライミング可能になったり、逆に問題行動が原因で新たに閉鎖されたりすることもあります。この記事で紹介する「日本100岩場」シリーズのように、増補改訂版が定期的に発行されているトポでは、こうした最新情報が反映されていることが多いため、できるだけ新しい版を選ぶのが無難です。
紙のトポとデジタル情報、どう使い分けるか
近年は、岩場によってウェブサイトや地域のクライミング団体のSNSアカウントでも情報が発信されるようになってきました。紙のトポとデジタル情報には、それぞれ異なる強みがあります。
実際の外岩デビューでは、「紙のトポで岩場の全体像とルートの詳細を把握し、出発直前にSNSや管理団体の公式情報で最新のクローズ状況を確認する」という組み合わせが現実的です。どちらか一方だけに頼るのではなく、両方の強みを補い合う使い方を意識してみてください。
なお、岩場によっては地域のルールとして「特定のウェブサイト以外へのトポ情報の転載・共有を禁止する」といった取り決めがある場合もあります。SNSでルート情報をシェアする際は、その岩場の管理団体が発信しているルールを事前に確認しておくと、トラブルを避けやすくなります。
■ 紙のトポの強み
電波の届かない山間部の岩場でもそのまま使え、電池切れの心配がありません。また、書籍として編集されているため、岩場全体の構成や複数のエリアの位置関係を俯瞰しやすいという利点もあります。多くの外岩クライマーが、最終的な確認は紙のトポで行うとされています。
■ デジタル情報の強み
最新のクローズ情報やリボルト情報など、紙のトポの発行後に判明した変更点をいち早く反映できる点が強みです。岩場を管理する地域団体の公式サイトやSNSアカウントをフォローしておくと、直前まで最新情報を確認できます。
外岩デビュー当日、トポをどう使うか — 現地での実践ステップ
トポの読み方が頭に入ったら、実際に外岩デビューの当日、現地でどのようにトポを使えばよいかを整理しておきます。
- 1出発前に、その日登る予定のエリア・ルートのページに付箋やクリップを付けておく。現地で何度もトポ全体をめくり直す手間が省け、他のクライマーの迷惑にもなりにくい。
- 2取り付きに着いたら、まずトポのルート図と実際の岩の見た目を照らし合わせ、目的のルートで間違いないかを同行者と一緒に確認する。似た形状のルートが隣り合っていることは珍しくなく、思い込みだけで登り始めるのは避ける。
- 3登る前に、トポに記載されたボルト本数・終了点の形式・注意マークをもう一度確認し、必要な装備(クイックドローの本数など)が足りているかをチェックする。
- 4登った後は、実際のルートの様子とトポの記載内容にズレがなかったかを振り返る。ボルトが増減していた、記載よりランナウトが大きかったなどの気づきがあれば、次にその岩場を訪れる人のためにも、可能であれば地域団体への情報共有を検討する。
経験者の同行を前提に
トポを読めるようになることは、外岩を楽しむための土台の一つですが、それだけで安全に登れるようになるわけではありません。ロープワーク、支点の見極め、懸垂下降の技術などは、書籍だけで身につけるのは危険です。初めての外岩は、経験豊富なクライマーの同行や、ガイド付きの外岩講習会への参加を強くおすすめします。
トポと合わせて確認しておきたいこと
トポを読めるようになった上で、外岩デビュー前にもう一段確認しておきたいポイントを整理しておきます。
まず、その岩場に「協定」や「クライマーズルール」が定められていないかです。地域のクライミング協会や自治体との間で、入山時間帯や駐車ルール、清掃活動への参加といった取り決めが結ばれている岩場は少なくありません。多くの場合トポの巻頭・巻末に記載がありますが、記載がない場合や情報が古い場合に備えて、岩場を管理する団体の公式サイトも合わせて確認しておくと安心です。
次に、天候や季節による岩の状態の変化です。トポに記載されたグレードや注意点は、標準的なコンディションを前提にしていることが多く、雨上がりで岩が濡れている、季節によって苔が生えている、といった状況では体感の難易度が大きく変わります。トポの情報を絶対視せず、現地の状況を自分の目で確認したうえで、無理なく登れる範囲かどうかを判断する姿勢が欠かせません。
最後に、緊急時の対応についてです。外岩では電波が届きにくい場所も多く、万が一の怪我や事故の際に助けを呼ぶ手段が限られることがあります。トポに緊急連絡先や最寄りの医療機関の情報が記載されている場合は事前に控えておき、同行者と緊急時の役割分担を確認しておくことをおすすめします。
トポはゴールではなくスタートライン
トポを読み解けるようになることは、外岩を安全に楽しむための第一歩に過ぎません。実際の外岩デビューでは、経験者の同行やガイド付き講習会の利用と組み合わせて、少しずつ経験を積んでいくことをおすすめします。
よくある質問
Qトポとは何ですか?
A外岩(岩場)のルートやアプローチ情報をまとめたガイドブックの通称です。岩場の写真やイラストの上にルートを線で示し、グレードや注意点、アプローチ方法などが記載されています。ジムのように色分けされたホールドがない外岩では、トポが唯一の「地図」の役割を果たします。
Qジムのグレードと外岩のグレードは同じ感覚で見ていいですか?
A基準が異なるため、そのまま一致させるのは難しいとされています。外岩はホールドが均一に磨かれていない、天候で摩擦が変わるといった要素があり、同じ数字・級でもジムより難しく感じられることが多いです。外岩デビューの最初は、ジムで登れるグレードより2〜3段階低いルートから試すと余裕を持って楽しめます。
Qトポに書かれた記号の意味が分かりません。どうすればいいですか?
Aまずトポの巻頭・巻末にある「凡例(記号の説明ページ)」を確認してください。記号のルールは出版社や著者、岩場によって細部が異なるため、本編を読む前に凡例と照らし合わせる習慣をつけると、記号の読み間違いを防げます。
Q紙のトポとインターネットの情報、どちらを信じればいいですか?
A両方を組み合わせて使うのが現実的です。紙のトポは電波のない場所でも使え、岩場全体の構成を俯瞰しやすい一方、発行後の変更(リボルトやクローズ情報など)は反映されていません。出発前に、岩場の管理団体やSNSの現地情報アカウントで最新のクローズ状況を確認する組み合わせがおすすめです。
Qトポさえ読めれば外岩デビューできますか?
Aトポの読み方は外岩を楽しむための土台の一つですが、それだけでは不十分です。ロープワークや支点の見極め、懸垂下降の技術などは書籍だけで身につけるのは危険なため、初めての外岩は経験豊富なクライマーの同行や、ガイド付きの外岩講習会への参加を強くおすすめします。
Q古い版のトポを中古で買っても大丈夫ですか?
A価格を抑えられる利点はありますが、ボルトの状態やアプローチ、クローズ情報が変わっている可能性があるため注意が必要です。可能であれば、出版社の公式サイトで最新の増補改訂版が出ていないかを確認し、購入後も現地の最新情報をSNSや管理団体の発信で補完することをおすすめします。
Q複数のシリーズのトポを併用しても大丈夫ですか?
A併用すること自体は問題ありませんが、シリーズによって記号のルールが異なる点に注意してください。同じ丸印でも「ボルト」を指す場合と「終了点」を指す場合があるため、複数のトポを使う場合は、それぞれの凡例ページを都度確認する習慣をつけると安全です。
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