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ボルダリングジムに通い始めて数ヶ月も経つと、備え付けの粉チョークだけでなく、SNSやジムの受付でよく見かける「リキッドチョーク(液体チョーク)」が気になり始める人は多いはずです。ボトルから手のひらに液体を出してすりこむと、数秒で乾いてサラサラの手になる——見た目にも分かりやすい効果があるため、道具好きのクライマーの間では定番アイテムの一つになっています。ただし、いざ自分用に1本買おうとすると、成分表示に並ぶ「炭酸マグネシウム」「イソプロピルアルコール」「ロジン」といった見慣れない言葉や、容量・価格の幅広さに戸惑う人も少なくありません。「とりあえず売れ筋の商品を選んでおけばいい」と考えて何となく購入すると、思ったより早く乾きすぎて塗り直しの回数が増えたり、アルコール成分で手が乾燥してしまったり、香り付きの製品が自分には合わなかったりと、後から気づく小さな不満が積み重なることもあります。この記事では、リキッドチョークが粉チョークとどう違うのか、商品ページのどこを見て選べばいいのかを、専門用語をかみ砕きながら整理しました。最後には、定番として名前が挙がりやすい4製品も比較しています。
この記事でわかること
- リキッドチョークは「粉チョークの代わり」ではなく「使い分けるもの」
- そもそもリキッドチョークの何を見れば違いが分かるのか
- 「容量」の読み方 — ミニボトルと大容量ボトルの使い分け
- 「ロジンの有無」の読み方 — 摩擦力と手への負担のトレードオフ
- 「香り・添加成分」の読み方 — メントールや保湿成分の有無
- 「ボトルの形状」の読み方 — キャップ式とポンプ式
初心者〜中級者におすすめのリキッドチョーク4選
ここでは実際に比較した候補を紹介します。前置きとして、これらを使えば必ずグリップ力が上がる、という話ではありません。いずれもメーカーや専門店の商品ページ上で案内されている実在の製品の中から、容量・成分・価格帯の組み合わせが異なる4製品を選びました。こちらの価格は記事作成時点の目安です。日々変動する可能性があります。購入前に商品ページで最新の価格・在庫・容量を確認してください。
4製品を並べると、価格帯とブランドの方向性で役割が分かれているのが分かります。ペツルとマムートは登山・クライミング総合ブランドとしての実績を重視するタイプ、ブラックダイヤモンドは環境配慮素材を打ち出したタイプ、PD9はコストパフォーマンスと国内企画を重視したタイプといった位置づけの製品です。
最終的にどれを選ぶかは、主にブランドへの信頼感、環境面への関心、そして予算によって変わります。まず実績のあるブランドで揃えたいなら1個目か2個目、環境配慮を重視したいなら3個目、費用を抑えてまず試したいなら4個目、という考え方をすると、判断に迷いにくくなります。価格・容量は変動するため、購入前に必ず商品ページで最新情報を確認してください。
価格だけで比べるとPD9が手頃に見えるかもしれません。ただし、この価格帯の違いは容量やブランドの位置づけによるところが大きく、どちらが優れているというわけではなく、自分が何を重視するかによって向き不向きが変わってくると考えてください。最初の1本であれば、まずはミニボトルサイズや手頃な価格帯の製品から試してみて、肌との相性や香りの好みを確かめてから、大容量タイプへの切り替えを検討するという進め方も十分にありです。
また、今回はいずれもメーカーや専門店の商品ページで案内されている製品を選びましたが、リキッドチョーク選びに正解は一つではありません。同じ「ロジンフリー」というくくりでも、ブランドごとにアルコール濃度や香りの有無には違いがあります。可能であれば、通っているジムの売店でミニボトルが販売されていないか確認し、実際に試してから本格的に揃えるという流れをおすすめします。

ペツル パワーリキッド(PETZL POWER LIQUID)S035AA00
参考価格2,200円
粉末の飛散がない液体チョーク。塗布後わずか数秒で手汗を抑え、フリクションとグリップの向上をサポートします。液状のため手に均一に塗布しやすく、ボトルには100%リサイクルHMPE素材を採用しています。粉タイプの「パワークランチ」と併用することで、より効果が高まるとされています。
ここが良い
- クライミング用具の総合ブランドとして知名度が高く、品質面の安心感がある
- 200mlと容量が多めで、単価を抑えやすい
- 速乾性が高く、塗布後すぐに乾くとされている
注意点
- ロジンの有無について商品ページ上での明記が少なく、摩擦力重視の人は購入前に確認したい
- 200mlのボトルは持ち運びにはややかさばるサイズ

マムート リキッドチョーク(MAMMUT Liquid Chalk)200ml
参考価格3,020円
高いグリップ力を生むリキッドマグネシウムを配合した液体チョーク。クライミングやボルダリングでさらに摩擦が必要な場面で役立つとされ、長時間続く効果、耐久性、粉塵の発生が少ない点が特徴として案内されています。特にクライミングジム向けに開発された製品です。
ここが良い
- ヨーロッパの登山・クライミング総合ブランドとしての実績があり、初めてでも選びやすい
- クライミングジム向けに開発されたと案内されており、屋内での使用イメージがしやすい
- 粉塵の発生が少ないとされ、ジムでの周囲への配慮にもつながる
注意点
- 4製品の中では価格がやや高め
- ロジンの有無や香りの詳細については商品ページ上の情報がやや簡潔

ブラックダイヤモンド エコゴールド リキッドチョーク(Black Diamond Eco Gold)BD14343
参考価格2,420円
採鉱した原料ではなく、海水淡水化プラントから算出される純度の高い炭酸マグネシウムを使用した、環境に配慮した液体チョーク。埃の出ない無害なコーティングで手をドライに保つとされています。クライミングギアで知られるブラックダイヤモンドの製品です。
ここが良い
- カラビナやハーネスでも定評のある総合クライミングブランドの製品で、信頼感がある
- 海水由来の原料を使用しており、環境への配慮を重視したい人に向いている
- 150mlとちょうど扱いやすいサイズ感
注意点
- ロジンの配合有無について明記が少なく、摩擦力重視の人は購入前に確認したい
- 香りや保湿成分の有無についての記載が簡潔
PD9 クライミング用液体チョーク(PD9公式)
4.73(219件のレビュー)
参考価格1,295円
クライミング・ボルダリングのために成分配合を再調整した、日本企画・製造の高摩擦タイプの液体チョーク。手汗や湿気による滑りを抑え、透明タイプで白残りしにくく粉が舞わないのが特徴です。ロジン不使用のロジンフリー処方でベタつきにくく、塗って数秒で乾く速乾タイプです。60mlで約200回分使用できるとされ、コンパクトなボトルは持ち運びにも便利です。
ここが良い
- 4製品の中でもっとも価格が手頃で、まず試してみたい人にリスクが少ない
- ロジンフリーでベタつきにくく、ジムでの使用でも扱いやすいとされている
- 60mlのコンパクトボトルで、ポケットに入れて持ち運びやすい
注意点
- 容量が60mlとやや少なめで、使用頻度が高い人はリピート購入の手間がかかる
- 海外の老舗ブランドと比べると、ブランドとしての歴史はまだ浅い
■ スペック比較表
| 商品 | ペツル パワーリキッド(PETZL POWER LIQU… | マムート リキッドチョーク(MAMMUT Liquid … | ブラックダイヤモンド エコゴールド リキッドチョーク(B… | |
|---|---|---|---|---|
| 参考価格 | 2,200円 | 3,020円 | 2,420円 | 1,295円 |
| 購入 | ||||
| 容量 | 200ml | 200ml | 150ml | 60ml(約200回分の目安) |
| 成分 | 炭酸マグネシウム、イソプロピルアルコール | — | — | ロジンフリー処方 |
| ボトル | 100%リサイクルHMPE製 | — | — | — |
| 対応シーン | ジム・外岩どちらにも案内あり | — | — | — |
| 特徴 | — | 長時間持続・粉塵の発生が少ない | 埃の出ないコーティングで手をドライに保つ | 透明タイプで白残りしにくく、粉が舞わない |
| 想定シーン | — | クライミングジム向けに開発 | — | — |
| 原料 | — | — | 海水淡水化プラント由来の高純度炭酸マグネシウム | — |
| レビュー評価 | — | — | — | 4.73(販売ページ上、219件時点) |
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リキッドチョークは「粉チョークの代わり」ではなく「使い分けるもの」
リキッドチョークというと、粉チョークをそっくり置き換える上位互換のようなイメージを持たれがちですが、実際には両者は性質の異なる道具で、多くのクライマーはシーンに応じて使い分けています。粉チョークは握るたびに手のひらに粉が補充される感覚があるのに対し、リキッドチョークは塗って乾かした瞬間に定着し、そのあとは追加で粉をはたく必要がないという違いがあります。この「一度塗ったら乾くまで待つ」という手順の違いを理解しないまま使い始めると、「思ったより効果が続かない」「逆に乾きすぎて手がカサカサになった」といった感想を持ってしまうことがあります。
そもそもリキッドチョークは、粉状の炭酸マグネシウム(一般的な粉チョークの主成分と同じ)を、イソプロピルアルコールなどの揮発性の高い溶剤に溶かし込んだ液体です。手のひらに塗り広げると、アルコール分がすぐに蒸発し、あとにはチョークの粉だけが薄い膜のように残る仕組みになっています。この「膜のように定着する」という特性が、粉チョークとの一番の違いです。粉チョークは動くたびに少しずつ粉が落ちてしまいますが、リキッドチョークは手になじんで簡単には落ちにくいとされ、特に発汗量が多い人や、長い課題でじっくり時間をかけて登りたい人に向いているといわれています。
一方で、リキッドチョークにも弱点があります。アルコール分は手の油分も一緒に飛ばしてしまうため、使いすぎると手の乾燥やひび割れにつながりやすいとされています。また、一度乾いて定着したチョークは粉チョークほど手軽に「足す」ことができず、登っている途中で汗をかいて滑りやすくなったときに、その場でサッと粉を足すという粉チョークならではの使い方はしにくいという声もあります。こうした特性から、多くの経験者は「登る前の下地としてリキッドチョークを塗り、登っている最中に汗が気になったら粉チョークやチョークボールで軽く足す」という組み合わせで使っているケースが目立ちます。
この記事では「リキッドチョークに変えれば必ずグリップ力が上がる」というような書き方はしません。効果の感じ方には汗の量や肌質、季節による個人差が大きく、誰にでも当てはまるとは限らないためです。その代わり、商品ページに並ぶ言葉がそれぞれ何を意味していて、初心者〜中級者にとってどのあたりが無難な目安になるのかを、できるだけ具体的に説明していきます。
なお、この記事は主に室内のボルダリングジムでの使用を前提に書いています。屋外の岩場でのクライミングでは、乾燥した気候や長時間の行動を考えた携行性、環境への配慮(炭酸カルシウムなど岩を痛めにくい成分を採用した製品を選ぶ動きもあります)といった、また少し違った視点が必要になることもあります。まずは自分がどんな場面で使うことが多いのかを思い浮かべながら読み進めてみてください。
この記事のスタンス
製品ごとの特徴については断言はせず、「〜とされる」「〜の傾向がある」という表現を用いています。肌質や発汗量による個人差が大きく、一概に決めつけられるものではないためです。特に肌が弱い人や、過去にアルコール成分でかぶれた経験がある人は、購入前に成分表示を確認し、可能であれば少量から試すことをおすすめします。
そもそもリキッドチョークの何を見れば違いが分かるのか
リキッドチョークの商品ページには、容量、成分(ロジンの有無、アルコール濃度など)、香りの有無、ボトルの形状(キャップ式・ポンプ式)、速乾性の訴求など、さまざまな情報が並んでいます。すべてを一度に理解する必要はありませんが、初心者〜中級者がまず押さえておきたいのは「容量」「ロジンの有無」「香り・添加成分」「ボトルの使いやすさ」の4つです。この4つを見るだけで、その製品が「がっつり摩擦力重視」なのか「肌にやさしいマイルド重視」なのかが、おおよそ判断できます。
たとえるなら、容量はどのくらいの頻度・期間使えるかの目安、ロジンの有無は摩擦力と手への負担のバランス、香り・添加成分は使い心地の好み、ボトルの使いやすさは日々の携行性に関わる要素です。容量が大きいほど1回あたりのコストは下がりやすい一方、開封後は使い切るまでに時間がかかり、成分が分離したり香りが飛んだりすることもあります。初心者のうちは、まず少量タイプで自分に合うかどうかを試してから、気に入ったブランドの大容量タイプに切り替えるという進め方が無難です。
一方で、容量だけを基準に「大は小を兼ねる」と考えてしまうと、実際にはあまり使わなかった、香りが強すぎて手放してしまった、といったミスマッチが起こることもあります。これはコストと使い心地のトレードオフで、どちらが正解ということではありません。まずは「今の自分はとにかく安く始めたい時期なのか、それとも多少コストがかかっても自分に合う1本を見極めたい時期なのか」を意識しておくと、商品ページの数字が意味を持って見えてきます。
もう一つ見落とされがちなのが、ロジン(松ヤニ)配合の有無です。ロジンは古くから弦楽器の弓や野球のピッチャーが使うことで知られる、粘着力の高い天然樹脂で、リキッドチョークに配合すると摩擦力を大きく高められるとされています。ただし粘着力が強い分、ホールドやウェアにベタつきが残りやすく、ジムによってはロジン入りチョークの使用を禁止・制限している場合もあります。逆にロジンフリーの製品は、ベタつきが少なく扱いやすい一方、摩擦力の伸びはロジン入りほど大きくないとされています。通っているジムのルールを確認したうえで、どちらのタイプを選ぶか決めるのが安全です。
また、香り付き・メントール配合の製品も多く流通しています。清涼感で手汗を感じにくくする効果を訴求した製品もありますが、香りの好みは人それぞれで、無香料タイプを好むクライマーも一定数います。特にジムという共有空間では、香りが強すぎると周囲に気を遣わせてしまうこともあるため、初めての1本は無香料または香りの主張が控えめな製品から試すという選び方も一つの目安になります。
「容量」の読み方 — ミニボトルと大容量ボトルの使い分け
リキッドチョークの容量は、商品ページに「30ml」「60ml」「150ml」「200ml」などmL表記で記載されており、あわせて「約○回分」という目安が示されている製品も多くあります。同じブランドでも、外出用の携行ボトルと、自宅・ロッカー保管用の大容量ボトルの両方をラインナップしているケースがよく見られます。
30〜60ml程度のミニボトルは、ポケットやチョークバッグの小物入れに収まりやすいサイズで、外岩やジムへの持ち運びに向いています。価格も比較的手頃で、初めてリキッドチョークを試す場合の入門サイズとしても選ばれやすいとされています。一方で使用ペースが早いクライマーにとっては、数週間〜1ヶ月程度でなくなってしまうこともあり、頻繁にリピート購入する手間が発生します。
150〜200ml程度の大容量ボトルは、1回あたりの単価を抑えやすく、ジムに通う頻度が高い人や、家族・パートナーとシェアして使いたい人に向いているとされています。ただし持ち運びには不向きなサイズであることが多く、自宅やロッカーに置いておき、外出前や自宅での練習前に塗ってから出かけるという使い方が中心になります。ボトルの口が広いタイプは中身が減ってくると指を入れて塗る必要が出てくることもあるため、最後まで使い切りやすい形状かどうかも、商品写真から確認しておくとよいでしょう。
最初の1本としては、まず30〜60ml程度のミニボトルで自分の肌との相性や香りの好みを確かめ、気に入ったブランドが見つかったら大容量タイプに切り替えるという流れがもっとも失敗が少ないとされています。逆に、いきなり大容量タイプを選んでしまうと、万が一肌に合わなかった場合に使い切れずに余らせてしまうリスクがある点には注意してください。
「ロジンの有無」の読み方 — 摩擦力と手への負担のトレードオフ
ロジン(松ヤニ由来の樹脂)は、リキッドチョークの摩擦力を大きく左右する成分です。商品ページでは「ロジン配合」「高摩擦タイプ」といった表現や、逆に「ロジンフリー」「ベタつかない」といった表現で紹介されていることが多く、この違いを見落とすと使用感の想像と実際のギャップに戸惑うことがあります。
ロジン配合タイプは、粘着質な樹脂の作用でホールドへの食いつきが強くなるとされ、外岩のスローパー(丸く持ちにくいホールド)など、摩擦力が特に重要になる場面で選ばれやすい傾向があります。一方で、粘着力の強さゆえにホールドやウェア、床にベタついた跡が残りやすく、ジムによっては使用を禁止しているところもあります。購入前に、通っているジムのウェブサイトや掲示でロジン入りチョークの扱いを確認しておくことを強くおすすめします。
ロジンフリータイプは、ベタつきが少なく後片付けもしやすいため、屋内ジムでの使用に向いているとされています。摩擦力の伸びはロジン入りほど大きくないとされる一方、日常的なジム練習であれば十分な効果を感じられるという声も多く、初心者〜中級者が最初に選ぶリキッドチョークとしては、まずロジンフリータイプから試すのが無難な選択とされています。
なお、同じロジンフリーでも、速乾性やベタつきの少なさを高めるためにアルコール濃度を高めに設計している製品もあります。アルコール濃度が高いほど速乾性は上がりやすい一方、手の乾燥を感じやすくなることもあるとされ、こちらも一長一短です。冬場など手の乾燥が気になる季節は、保湿成分(グリセリンなど)を配合した製品を選ぶという選択肢も検討してみてください。
「香り・添加成分」の読み方 — メントールや保湿成分の有無
リキッドチョークの中には、清涼感を出すためのメントールや、手荒れを抑えるための保湿成分(グリセリン、アロエエキスなど)を配合した製品もあります。無香料・無添加をうたうシンプルな製品と、こうした付加機能を持たせた製品とで、使い心地の方向性がかなり変わります。
メントール配合タイプは、塗った瞬間にスースーとした清涼感があり、汗ばむ季節や、手汗が多いと感じる人に好まれる傾向があります。ただし清涼感の強さには個人差の感じ方が大きく、肌が敏感な人にとってはピリピリとした刺激として感じられることもあるため、初めて使う場合は少量から試すのがおすすめです。
保湿成分配合タイプは、アルコールによる乾燥をやわらげる狙いで作られており、手荒れが気になる人や、リキッドチョークを頻繁に使う中〜上級者に選ばれやすいとされています。一方で、保湿成分が入っている分、乾燥までにやや時間がかかったり、素手の状態よりもわずかに手のひらの滑りを感じたりするという声もあり、速乾性を最優先したい場合はシンプルな無添加タイプのほうが向いていることもあります。
香りについては、柑橘系やミント系などバリエーションが豊富な製品もあれば、あえて無香料に振り切った製品もあります。ジムという共有空間で使うことを考えると、香りの主張が強すぎない製品を選ぶ人が多い印象ですが、最終的には好みの問題です。可能であれば、店頭でテスターが置いてある場合に試すか、少量サイズから購入して確かめてみるとよいでしょう。
「ボトルの形状」の読み方 — キャップ式とポンプ式
リキッドチョークのボトルには、大きく分けてねじ込み式のキャップで開閉するタイプと、押すだけで一定量が出てくるポンプ・ディスペンサー式のタイプがあります。見落とされがちなポイントですが、日々の使い勝手に直結する部分です。
キャップ式は構造がシンプルで壊れにくく、持ち運び時に液漏れしにくいという利点があります。片手でキャップを開け閉めする手間はありますが、多くの製品がこの方式を採用しており、価格を抑えやすい傾向にもあります。ミニボトルタイプの多くはこのキャップ式です。
ポンプ・ディスペンサー式は、片手でワンプッシュして適量を出せるため、登っている合間の手早い塗り直しに向いています。大容量ボトルに採用されていることが多く、自宅やジムのロッカーに置いておく据え置き用途と相性がよいとされています。ただし、ポンプ部分は精密な構造のため、持ち運びの振動で液漏れしたり、ポンプが劣化して出が悪くなったりすることもあるため、外出時の携行には不向きな場合があります。
購入前に商品写真やスペック表でボトルの形状を確認し、自分がどんなシーンで使うことが多いかをイメージしておくと、「思っていたより出しにくい」「持ち運びで漏れてしまった」といった小さなストレスを避けやすくなります。
正しい塗り方 — 厚塗りは逆効果になることも
リキッドチョークは、粉チョークのように「軽くはたく」感覚ではなく、「薄く均一に伸ばして乾かす」ことが基本の使い方です。塗り方を誤ると、せっかくの製品の効果を十分に発揮できないこともあります。
基本的な手順は、適量(1円玉から500円玉程度の大きさが目安とされています)を片方の手のひらに出し、両手をこすり合わせるようにして指の間や爪の周りまで均一に伸ばし、完全に乾くまで数秒〜十数秒ほど待つという流れです。乾く前に登り始めてしまうと、ホールドにベタついた跡が残ったり、逆に滑りやすくなったりすることがあるため、乾燥を待つひと手間を惜しまないことが大切です。
厚く塗りすぎるのも避けたいポイントです。液体が多すぎると乾燥に時間がかかるだけでなく、乾いたあとに白い粉が厚く固まってひび割れたようになり、逆にグリップの妨げになることがあるとされています。初めて使う製品は、まず少量から試して、自分にとってのちょうどよい量を探るとよいでしょう。
また、登っている途中で塗り直す場合は、すでに乾いた古いチョークの層の上に重ね塗りするよりも、一度ブラシで軽く落としてから塗り直すほうが、ムラなく定着しやすいとされています。1回の練習セッションで何度も重ね塗りを繰り返すと、手のひらが白く固まった感触になり、逆にホールドの感触をつかみにくくなることもあるため、様子を見ながら適量を調整してください。
塗ってすぐ登らない
リキッドチョークは乾く前に登ってしまうと、期待した効果が得られないだけでなく、ホールドにベタついた液体が付着して他のクライマーの迷惑になることもあります。ジムの床やスタート前の待機時間を使って、しっかり乾かしてから登り始める習慣をつけましょう。
目的別に見る3タイプ
ここまで見てきた容量・ロジンの有無・香り・添加成分の組み合わせによって、市販のリキッドチョークはおおよそ3つの系統に分けられます。すべての製品がきれいに当てはまるわけではありませんが、店頭やネットショップで「この製品はどのタイプだろう」と判断する目安として使ってください。
■ スタンダード・お試し型
容量150〜200ml程度、ロジンフリー、無香料または控えめな香り付けといった組み合わせが多いタイプです。特定のジムでのルール違反になりにくく、初めてリキッドチョークを使う人、まずは基本的な使い心地を確かめたい人に向いているとされています。
■ 高摩擦・パフォーマンス型
ロジンを配合した高摩擦タイプが多く、外岩でのクライミングや、摩擦力を特に重視したい場面で選ばれやすい系統です。ベタつきが出やすいため、使用するジムのルールを事前に確認する必要があります。
■ コンパクト携行型
容量30〜60ml程度のミニボトルが中心で、ポケットやチョークバッグに収まりやすいサイズ感が特徴です。外岩への持ち運びや、荷物を増やしたくない人、まず少量で試したい人に向いているとされています。
選び方の3ステップ
ここまでの知識を踏まえて、実際にリキッドチョークを選ぶ考え方を3つのステップに落とし込みました。段階を踏んで絞り込むと、専門用語に振り回されることなく、候補を絞りやすくなります。
- 1通っているジムのルールを確認する。ロジン入りチョークや、香りの強い製品の使用を制限しているジムもあるため、まずは利用規約や掲示を確認し、使えるタイプの範囲を把握してから探し始めると無駄がありません。
- 2容量とロジンの有無で候補を絞る。初めての1本であれば、30〜60ml程度のミニボトルで、ロジンフリー・無香料または控えめな香りの製品を軸に3〜5個ほどリストアップします。この時点ではブランドやパッケージデザインにこだわりすぎず、まず条件のレンジで機械的に絞り込むのがコツです。
- 3肌との相性を少量から試す。アルコール成分による乾燥の感じ方や、香りの好みは人によって差が大きいため、いきなり大容量タイプを購入するのではなく、まずミニボトルや少量パッケージで試してから、気に入ったブランドの大容量タイプに切り替えるという進め方がおすすめです。
手荒れが気になる場合は保湿を忘れずに
リキッドチョークに含まれるアルコール成分は、使用頻度が高いほど手の乾燥につながりやすいとされています。練習後にハンドクリームで保湿する、保湿成分配合タイプに切り替えるなど、手のコンディションを見ながら使用頻度や製品を調整することをおすすめします。
粉チョークとの併用で気をつけたいこと
リキッドチョークは粉チョークを完全に置き換えるものではなく、多くのクライマーが両方を使い分けています。ここでは、併用するうえで気をつけておきたいポイントを整理します。
基本的な使い方としては、登り始める前にリキッドチョークを下地として塗り、乾かしてから登り始め、途中で汗が気になってきたタイミングで粉チョークやチョークボールを軽く足すという流れが一般的です。この順番を逆にして、粉チョークをはたいた上からリキッドチョークを塗ろうとすると、うまく定着せずダマになってしまうことがあるため、基本的には「リキッドが先、粉があと」という順序を意識するとよいでしょう。
また、リキッドチョークを塗った直後の手は、乾くまでの数秒間はやや滑りやすい状態になることがあります。焦って乾く前にホールドを掴んでしまうと、期待した効果が得られないだけでなく、ホールド側にベタついた液体が付着し、次に登る人の迷惑になることもあります。塗ったら深呼吸ひとつ分くらいの時間、しっかり乾かす習慣をつけてください。
併用する場合、リキッドチョークとチョークバッグの中の粉チョークの相性も意識しておくとよいでしょう。リキッドチョークで下地を作った手に粉チョークを重ねると、粉の定着がよくなり、長い課題でも粉切れを感じにくくなるとされています。逆に粉チョークだけに頼っていた人がリキッドチョークを併用し始めると、「思ったより粉の消費が減った」と感じることも多いようです。
ジムのルールを必ず確認
ジムによっては、ロジン入りチョークや香りの強いチョークの使用を制限している場合があります。せっかく気に入った製品を購入しても、通っているジムのルールに合わなければ使えないこともあるため、購入前に一度、利用しているジムのウェブサイトや掲示を確認しておくと安心です。
買ったあとに気をつけたいこと
リキッドチョークは比較的シンプルな道具ですが、保管や使用の仕方によって使い心地が変わってくる部分もあります。特に初心者のうちは見落としがちな点を整理しておきます。
まず、保管場所です。アルコール成分を含むため、直射日光の当たる車内や高温になる場所に長時間置いておくと、成分が分離したり、揮発が進んで中身が減ってしまったりすることがあります。使用後はキャップやポンプをしっかり閉め、できるだけ涼しく直射日光の当たらない場所で保管するようにしてください。
次に、使用頻度と手荒れのバランスです。リキッドチョークは便利な反面、アルコール成分による乾燥が積み重なると、手のひらのひび割れや、指先の皮むけにつながることもあります。毎回の練習で必ず使うのではなく、汗の量や季節に応じて粉チョークとの併用比率を調整したり、練習後にハンドクリームで保湿したりする習慣を持つと、長く快適に使い続けやすくなります。
最後に、開封後の使用期限にも目を向けてください。多くの製品には明確な使用期限の記載がない場合もありますが、開封後に成分が分離したり、香りが薄くなったり、粘度が変わってきたと感じたら、使い心地が変化しているサインかもしれません。ミニボトルであれば数ヶ月程度で使い切れる量のものを選んでおくと、こうした劣化を気にせず使い切りやすくなります。
こうした細かな注意点は、リキッドチョークそのものの性能とは別の話に思えるかもしれません。ですが、道具を正しく扱う習慣は、結果的に「今使っている製品が自分に合っているか」を判断しやすくすることにもつながります。手の乾燥や粘度の変化に違和感を覚えたときに、製品自体の相性の問題なのか、保管や使用頻度の問題なのかを切り分けられるようになると、次に買い替えるときの判断もしやすくなるはずです。
よくある質問
Qリキッドチョークと粉チョーク、初心者はどちらを選べばいいですか?
Aどちらか一方に絞る必要はなく、多くのクライマーは登る前の下地としてリキッドチョークを塗り、登っている途中で汗が気になったら粉チョークやチョークボールで軽く足すという併用スタイルを取っています。まずは通っているジムのルールを確認したうえで、ロジンフリー・無香料タイプのリキッドチョークをミニボトルで試してみるのがおすすめです。
Qロジン入りとロジンフリー、どちらを選べばいいですか?
Aロジン入りは摩擦力が高くなるとされる一方、ホールドやウェアにベタつきが残りやすく、ジムによっては使用を禁止・制限している場合があります。ロジンフリーはベタつきが少なく扱いやすいため、まず室内ジムで使う最初の1本としてはロジンフリータイプが無難な選択とされています。購入前に通っているジムのルールを確認してください。
Qリキッドチョークを使うと手が荒れやすいというのは本当ですか?
A含まれるアルコール成分が手の油分も一緒に飛ばしてしまうため、使用頻度が高いと手の乾燥やひび割れにつながりやすいとされています。保湿成分配合タイプを選ぶ、練習後にハンドクリームで保湿する、使用頻度を調整するといった対策で、負担を軽減しやすくなります。肌が特に敏感な人は、購入前に成分表示を確認することをおすすめします。
Q塗ってからどれくらいで乾きますか?
A製品や塗る量にもよりますが、数秒〜十数秒程度で乾くとされている製品が多いです。厚く塗りすぎると乾燥に時間がかかったり、乾いたあとにひび割れたような感触になったりすることがあるため、薄く均一に伸ばし、完全に乾いてから登り始めることを心がけてください。
Qリキッドチョークはチョークバッグに入れて持ち運べますか?
Aリキッドチョークは液体のため、粉チョークのようにチョークバッグの中にそのまま入れて使うものではありません。多くの場合、別途ボトルのまま携行し、登る前に手のひらに出して使います。ミニボトルタイプであればチョークバッグの外側のポケットや、ウェアのポケットに収まるサイズの製品もあります。
Q予算はどれくらい見ておけばいいですか?
Aミニボトル(30〜60ml程度)であれば1,300〜1,600円程度、大容量ボトル(150〜200ml程度)であれば2,200〜3,200円程度が目安です。最初の1本であれば、無理に大容量タイプを選ぶ必要はなく、まずミニボトルで自分の肌との相性や香りの好みを確かめてから、気に入ったブランドの大容量タイプへの切り替えを検討するのがおすすめです。
迷ったらこれ|この記事のNo.1

ペツル パワーリキッド(PETZL POWER LIQUID)S035AA00
参考価格 2,200円
向いている人:知名度と実績のあるブランドで、まず1本を安心して選びたい人
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