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ボルダリングジムに何ヶ月も通って、そろそろ外岩(外の岩場)や、ロープを使ったマルチピッチクライミングに挑戦してみたい——そう思ったとき、ハーネスやロープと同じくらい見落とされがちなのがヘルメットです。ジムのボルダリングエリアではまず必要にならない道具なので、「ヘルメットって本当に要るの?」「かぶるとしたらどれを選べばいいのか分からない」という人も多いはずです。実際、ヘルメットが必要かどうかは登るスタイルによって変わりますし、いざ買おうとしてブラックダイヤモンドやペツルのサイトを開くと、「ハードシェル」「インモールド」「CE EN 12492」といった聞き慣れない言葉が並び、結局レビューの星の数だけで選んでしまう人も少なくありません。ですがヘルメットは、落石や、リード中の墜落で振られて岩に頭をぶつけたときに、頭部への致命的な衝撃を和らげてくれる唯一の道具です。サイズが合っていなかったり、想定している用途に合わない構造のものを選んでしまうと、肝心なときにずれて頭を守れなかったり、逆に重すぎて長時間の着用がつらく、結局「暑いから」「邪魔だから」とザックにしまいこんでしまう、という本末転倒な事態にもなりかねません。この記事では、専門用語を一つずつやさしい言葉に置き換えながら、初心者〜中級者がどこを見てヘルメットを選べばいいかを整理しました。最後には、人気の高い4点も比較しています。なお、この記事は購入前の知識整理を目的としたもので、実際にいつ・どこでヘルメットを着用すべきかについては、必ず講習会やジムのスタッフ、経験者の指導を受けたうえで判断してください。
この記事でわかること
- そもそもヘルメットはいつ必要になるのか
- 構造の違い — ハードシェル型・インモールド型・ハイブリッド型
- まず確認したい「認証マーク」— CE EN 12492とUIAA
- フィット感とサイズ調整方式 — ダイヤル式とバンド式
- 通気孔と重量のトレードオフ
- ヘッドランプクリップと付属機能
初心者〜中級者におすすめのヘルメット4選
実際の候補はここから紹介しますが、先に触れておきたいのは、これらをかぶれば安全というものではなく、正しいサイズ選び・正しい装着があって初めて保護性能が発揮されます。いずれもメーカーの商品ページ上で構造・重量・想定シーンが明記されているモデルの中から、タイプの異なる4点を選びました。価格情報は記事作成時点のものです。在庫状況などで変わることがあります。購入前に商品ページで最新の価格・在庫・選べるサイズを確認してください。
4点を並べると、重量と価格帯で役割が分かれているのが分かります。ブラックダイヤモンド ハーフドームは耐久性を重視した定番のハードシェルモデル、ペツル ボレオは耐久性と軽さのバランスを取ったハイブリッドモデル、ペツル シロッコは160g台の軽さを追求したハイエンドモデル、ブラックダイヤモンド ビジョン ウィメンズはその中間に位置する軽量モデルというキャラクターの製品です。
向き不向きは、想定する活動シーン、頭のサイズ、予算によって変わります。まず1個目として耐久性と価格のバランスを取りたいならハーフドーム、ジムからのステップアップでバランス重視ならボレオ、リードやアルパインへ本格的にステップアップしたいならシロッコ、頭が小さめで軽さと価格のバランスを取りたいならビジョン ウィメンズ、という選び方が、失敗を避けるうえで無難でしょう。価格・仕様は変わる可能性があるため、購入前に商品ページで現状をチェックしてください。
なお、今回はいずれもメーカー公式または正規取扱店の商品ページで構造・重量が明記されているモデルを選びましたが、ヘルメット選びに絶対の正解はありません。同じ「オールラウンド型」を謳うモデルでも、メーカーごとにシェルの厚みやパッドの当たり方には違いがあります。可能であれば、この4点に近いスペックのモデルを店頭で試着し、実際にあご紐を締めて頭を振ったときのずれの少なさを確認してみてください。

ブラックダイヤモンド ハーフドーム(Black Diamond HALF DOME) BD12012
4.29(24件のレビュー)
参考価格9,240円
片手で締め具合を調整できるダイヤル式サスペンションと、ヘッドランプクリップを備えた、耐久性重視のハードシェル構造モデル。ブラックダイヤモンドのヘルメットの中でも定番として長く支持されており、初めてのマイヘルメットとして選ばれやすい1個です。
ここが良い
- ダイヤル式で片手でも素早くフィット感を調整でき、初めてでも扱いやすい
- ハードシェル構造で耐久性が高く、多少手荒に扱っても壊れにくいとされる
- S/M・M/Lの2サイズ展開で、幅広い頭囲に対応しやすい
注意点
- 4点の中では重量がやや重めで、長時間の着用では負担を感じる場合がある
- 通気孔の数は軽量モデルに比べて少なめとされる

ペツル ボレオ(PETZL BOREO) A042VA
5.00(1件のレビュー)
参考価格10,670円
ABS樹脂シェルとEPP・EPSフォームを組み合わせたハイブリッド構造の中で、コンパクトさと頭部保護のバランスを取ったモデル。前部・側部・後部からの衝撃に対する保護性能を高めつつ、通気性にも配慮した設計とされています。
ここが良い
- 前部・側部・後部からの衝撃保護を意識した設計とされ、ジムの延長で外岩に挑戦する人にも安心感がある
- S/M・M/Lの2サイズ展開で、ハーフドームと近い頭囲レンジをカバーしている
- クライミングだけでなく登山・キャニオニングなど幅広い用途で使える汎用性がある
注意点
- 4点の中では現時点でYahoo!ショッピング側の同一店舗取り扱いが確認できず、rakutenUrlのみの案内となる
- ハーフドームと比べると通気孔の配置による蒸れやすさは実使用での差が出る場合がある

ペツル シロッコ(PETZL SIROCCO) A073DA
参考価格20,400円
EPPフォームによるインモールド構造を採用し、160g台という軽さを実現したハイエンドモデル。長時間の着用でも負担を感じにくいとされ、リードクライミングやアルパインクライミングに力を入れたい人に選ばれやすい1個です。
ここが良い
- 160g台という軽さで、長時間の着用でも首や肩への負担を感じにくいとされる
- アルパインクライミングなど行動時間の長いスタイルにも対応しやすい
- ペツルのハイエンドラインとして、細部の作り込みに定評がある
注意点
- 4点の中で価格がもっとも高く、初めての1個としては予算面のハードルがある
- 軽量化のため、ハードシェル型と比べると荒い扱いへの耐久性はやや劣るとされる

ブラックダイヤモンド ビジョン ウィメンズ(Black Diamond VISION Women) BD12056
参考価格12,226円
ポリカーボネートシェルとEPP・EPSフォームを組み合わせ、軽さと耐久性を両立したモデルの女性用カラー展開。すっきりしたサスペンションと引っかかりにくいヘッドランプクリップ、取り外して洗えるパッドを備えています。
ここが良い
- 約220gと軽量で、女性やジュニアなど頭が小さめの人にもフィットしやすいサイズ設計とされる
- パッドが取り外して洗える構造で、汗をかきやすい季節でも清潔に保ちやすい
- ハーフドームより軽く、シロッコより手頃な価格帯という中間的な位置づけ
注意点
- サイズ展開がS/Mの1種類のみで、頭囲が大きめの人には合わない場合がある
- カラー展開が女性向けの配色中心で、選べる見た目の幅は限られる
■ スペック比較表
| 商品 | ブラックダイヤモンド ハーフドーム(Black Diam… | ペツル ボレオ(PETZL BOREO) A042VA | ペツル シロッコ(PETZL SIROCCO) A073… | ブラックダイヤモンド ビジョン ウィメンズ(Black … |
|---|---|---|---|---|
| 参考価格 | 9,240円 | 10,670円 | 20,400円 | 12,226円 |
| 購入 | ||||
| 重量 | 約330g(S/M)・約350g(M/L) | 約300g(S/M)・約330g(M/L) | 約160g(S/M)・約170g(M/L) | 約220g(S/M・実測値) |
| 頭囲サイズ | S/M(50-58cm)・M/L(56-63cm) | S/M(48-58cm)・M/L(53-61cm) | S/M(48-58cm)・M/L(53-61cm) | S/M(53-59cm) |
| 構造 | ハードシェル(外殻+発泡ライナー) | ハイブリッド(ABS樹脂シェル+EPP/EPSフォーム) | インモールド(EPPフォーム一体成形) | EPP/EPSフォーム+ポリカーボネートシェル |
| 調整方式 | ダイヤル式サスペンション | — | — | — |
| 付属機能 | ヘッドランプクリップ | — | — | 取り外し可能なパッド、ヘッドランプクリップ |
| 販売元 | 登山・クライミング専門店シャモニ(楽天市場店) | 登山・クライミング専門店シャモニ(楽天市場店) | 登山・クライミング専門店シャモニ(楽天市場店) | 登山・クライミング専門店シャモニ(楽天市場店) |
| 用途 | — | クライミング・登山・キャニオニング等 | スポーツクライミング・アルパインクライミング | — |
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そもそもヘルメットはいつ必要になるのか
ジムのボルダリングエリアで登っている限り、ヘルメットを着用しているクライマーはほとんど見かけません。マットが敷かれた室内で、落石の心配もないため、基本的には不要とされています。状況が変わるのは、ロープを使ったリードクライミングやトップロープ、特に屋外の岩場(外岩)やマルチピッチ(複数区間に分かれた長いルート)に挑戦し始めたときです。
屋外の岩場には、上部の岩や、他のクライマーが落としたホールド・カラビナなどが落下してくるリスクが常にあります。自分が落石を起こさなくても、上にいる別のパーティーの落とし物が直撃することもあり、これはヘルメットなしでは防ぎようがありません。また、リード中に墜落したとき、体が振り子のように振られて岩壁に接触し、頭を打つケースも報告されています。ヘルメットは、こうした「落ちてくるもの」と「自分がぶつかるもの」の両方から頭部を守るために存在します。
見落とされがちですが、登っている本人だけでなく、下でビレイ(確保)をしている人にも落石のリスクはあります。多くのクライミング講習会やガイド団体では、外岩でのビレイヤーにもヘルメット着用を推奨しており、実際に落石でビレイヤーが負傷する事故も起きています。「自分は登らないから大丈夫」ではなく、岩場に立つ全員が着用を検討すべき道具だと考えてください。
この記事では「ヘルメットをかぶれば絶対に安全」というような書き方はしません。ヘルメットはあくまで衝撃を和らげる道具であり、正しく装着して初めて性能を発揮するものだからです。その代わり、商品ページに並ぶ構造や規格の言葉がそれぞれ何を意味していて、初心者にとってどのあたりが無難な目安になるのかを、できるだけ具体的に説明していきます。
この記事のスタンス
商品ごとの特徴については断定を避け、「〜とされる」「〜しやすい傾向がある」といった書き方にしています。用途や頭の形による個人差が大きい道具のため、断定はできません。判断材料として使い、可能であれば購入前に実店舗で試着し、ジムのスタッフや講習会でいつ・どこで着用すべきかを確認することを強くおすすめします。
構造の違い — ハードシェル型・インモールド型・ハイブリッド型
ヘルメットの商品ページを見ていくと、内部の構造によって大きく3つのタイプに分かれていることが分かります。この構造の違いが、そのまま重量・通気性・耐久性のバランスに直結するため、まず押さえておきたいポイントです。
「ハードシェル型」は、硬いプラスチック(ポリカーボネートなど)の外殻の内側に、衝撃吸収用の発泡素材を配置した、昔ながらの頑丈な構造です。多少ぶつけても外殻が傷つきにくく、耐久性に優れるとされる一方、重量は300〜400g台とやや重めになる傾向があります。落石の多い場所やガイド登山、繰り返し岩に接触するような使い方を想定するなら、まず候補にしたい構造です。
「インモールド型」は、発泡素材(EPS・EPPなど)の表面に薄い樹脂の膜を一体成形した構造で、自転車用ヘルメットに近いイメージです。軽量化しやすく、160〜220g程度まで抑えたモデルもありますが、外殻が薄いぶん、ハードシェル型に比べると経年でのへたりや、ちょっとした落下・打撃による損傷には注意が必要とされています。長時間の着用や、身軽さを優先したいスポーツクライミング・アルパインクライミング向けの選択肢です。
「ハイブリッド型」は、前面や側面など衝撃を受けやすい部分だけ硬い樹脂で覆い、それ以外の部分をインモールド構造にすることで、耐久性と軽量性を両立させようとする設計です。近年のエントリー〜ミドルクラスのモデルに多く採用されており、初めての1個としても選びやすいバランス型といえます。
どの構造が「正解」というわけではなく、想定する用途によって向き不向きが変わります。ジムからの延長で外岩のトップロープ・軽いマルチピッチまでを想定するならハイブリッド型、とにかく身軽さを優先したいならインモールド型、落石の多いエリアでの耐久性を重視するならハードシェル型、という大まかな目安で考えると選びやすくなります。
まず確認したい「認証マーク」— CE EN 12492とUIAA
ハーネスやロープと同様、ヘルメットの商品ページやタグにも「CE EN 12492」「UIAA」といった認証表記があります。CE EN 12492は登山・クライミング用ヘルメット専用の欧州規格で、UIAAは国際山岳連盟が定める認証です。国内で正規に販売されているクライミング用ヘルメットであれば、基本的にはこのどちらか、または両方の認証を受けています。
この認証は、上方からの衝撃吸収性能、側面や後方からの衝撃に対する保護、あご紐の強度など、決まった条件下での試験基準を満たしていることを示すものです。似た見た目の自転車用ヘルメットやスケートボード用ヘルメットは、想定する衝撃の方向や強さが異なる規格(CE EN 1078など)で作られているため、クライミング用として代用するのは避けたほうがよいとされています。
価格が極端に安く、認証表記のない「アウトドア用ヘルメット」「作業用ヘルメット」がクライミング用として通販サイトに紛れていることもあります。工事現場用のヘルメット(保護帽)は、上からの落下物を想定した規格で作られており、クライミング特有の斜め方向・側面からの衝撃や、あご紐で頭部にしっかり固定する構造を想定していません。購入前には必ず、CE EN 12492またはUIAA認証のあるクライミング専用ヘルメットであることを商品ページで確認してください。
なお、認証は「新品時点での基準クリア」を示すものです。ヘルメットにも寿命があり、後述するように使用年数や落下・強い衝撃の有無によって交換の目安が変わってきます。認証があるからといって、永久に同じ性能が保たれるわけではない点は覚えておいてください。
フィット感とサイズ調整方式 — ダイヤル式とバンド式
ヘルメットは、頭にただ乗せるものではなく、あご紐と後頭部のサイズ調整機構によって、頭部にしっかり固定してこそ本来の保護性能を発揮します。商品ページのサイズ表記は「頭囲◯〜◯cm」で示されることが多く、この実寸の範囲がサイズ選びの基本情報になります。
調整方式には大きく「ダイヤル式(後頭部のダイヤルを回して締め具合を微調整できるタイプ)」と「バンド式(伸縮性のあるバンドで固定するだけで、細かい調整がないタイプ)」があります。ダイヤル式は片手でも素早く締め・緩めができ、帽子やヘッドライトのバンドを併用しても調整しやすいため、初めての1個として扱いやすいとされています。バンド式は構造がシンプルで軽量な傾向がある一方、細かいフィット調整はしにくく、頭の形によっては安定感に差が出ることがあります。
サイズ表記の範囲の中央〜やや小さめに自分の頭囲が収まっているモデルを選ぶと、ニット帽や耳あてを着けた冬場でも調整の余地を持たせやすくなります。範囲の上限・下限ぎりぎりのサイズを選んでしまうと、季節や髪型による頭まわりの変化で「きつすぎる」「緩すぎる」という状況になりやすいため注意が必要です。
正しいフィットの目安として、あご紐を締めた状態で、ヘルメットが前後・左右にほとんどずれないことを確認してください。頭を大きく振ってもずれるようなら、サイズが合っていないか調整が不十分な可能性があります。可能であれば、購入前にクライミング専門店で試着し、実際にあご紐を締めてずれの少なさを確認することを強くおすすめします。
試着できる場合は必ず試す
ヘルメットは通販での購入も一般的ですが、頭の形には個人差があり、同じ頭囲の数値でも、丸型・楕円型といった形状によってフィット感は変わります。可能であればクライミング専門店で複数モデルを試着し、頭を振ってもずれないか、額や側頭部への圧迫感がないかを確認してから選ぶと失敗しにくくなります。
通気孔と重量のトレードオフ
ヘルメットの側面や前面に開いている小さな穴を「通気孔(ベンチレーション)」と呼びます。商品ページには「通気孔◯個」のように個数が明記されていることが多く、この数と配置によって、着用中の蒸れやすさがかなり変わります。
通気孔が多いモデルは、夏場の暑いゲレンデや、長時間のマルチピッチでも頭部の蒸れを軽減しやすいとされています。一方で、通気孔を増やすためにシェルの面積を削ると、その部分の保護性能や耐久性とのバランスを取る設計が必要になり、これがハードシェル型よりもインモールド型・ハイブリッド型に軽量モデルが多い理由の一つでもあります。
重量についても、通気孔の数と同様にトレードオフの関係にあります。160g台の超軽量モデルは、長時間かぶっていても首や肩への負担を感じにくい一方、素材が薄い分、頻繁に岩にぶつけるような荒い使い方には向かないとされています。300g台のモデルは重量を感じやすい代わりに、多少手荒に扱っても壊れにくい安心感があります。
初めての1個であれば、極端な軽量モデルよりも、300g前後のバランス型から入り、実際に外岩やマルチピッチでの使用感を確かめてから、必要に応じて軽量モデルへステップアップするという考え方も十分にありです。
ヘッドランプクリップと付属機能
ヘルメットの前後には、ヘッドランプ(ヘッドライト)を固定するための小さなクリップが付いていることが多く、商品ページには「ヘッドランプクリップ×2」のように明記されています。マルチピッチや薄暗い時間帯からの取り付き、下山時のアプローチなど、ヘッドランプが必要になる場面は意外と多いため、地味ながら確認しておきたいポイントです。
クリップの数や配置は、前面2箇所+背面ゴムバンドという組み合わせが一般的です。前面だけでなく背面にもヘッドランプのバンドを引っ掛けられる構造になっていると、暗いなかでの装着がスムーズになります。ジム通いが中心のうちは優先度の低い機能ですが、外岩デビュー後にマルチピッチへステップアップする予定があるなら、あらかじめ確認しておくと後悔しにくいでしょう。
このほか、パッドが取り外して洗える構造になっているモデルもあります。ヘルメットは汗や皮脂が直接触れる道具のため、内側のパッドを洗濯できるかどうかは、長く清潔に使ううえで意外と重要なポイントです。
目的別に見る3タイプ
ここまで見てきた構造・重量・通気孔の組み合わせによって、市販のクライミングヘルメットはおおよそ3つの系統に分けられます。すべてのモデルがきれいに当てはまるわけではありませんが、商品ページを読み込む前に、自分がどのタイプに近いかを先に決めておくと選びやすくなります。
■ オールラウンド型
ハイブリッド構造で、重量は300g前後、通気孔もある程度の数を確保したバランス型です。外岩のトップロープから軽いマルチピッチまで幅広くこなせるとされ、初めての1個として最も選ばれやすいタイプです。
■ 軽量・スポーツクライミング型
インモールド構造中心で、重量は160〜220g程度とかなり軽めのものが多いタイプです。長時間の着用でも負担を感じにくい一方、価格は高めで、荒い扱いにはやや弱いとされています。リード中心にステップアップしたい人、頻繁にゲレンデへ通う人向けです。
■ 耐久性重視・ハードシェル型
硬いシェルで耐久性を優先した設計です。重量は300〜400g台とやや重めですが、落石の多いエリアや繰り返しの使用に強く、価格も比較的手頃なモデルが多い傾向があります。予算を抑えつつ、まず1個試してみたい人にも向いています。
選び方の3ステップ
ここまでの知識を踏まえて、実際にヘルメットを選ぶコツを3つの手順に整理しました。ステップごとに絞り込んでいくと、専門用語に翻弄されずに候補を決めやすくなります。
- 1想定する活動シーンを大まかに把握する。外岩のトップロープや軽いマルチピッチが中心なら「オールラウンド型」、リードにどんどん力を入れたいなら「軽量・スポーツクライミング型」、まず費用を抑えて試したいなら「耐久性重視・ハードシェル型」を軸に検討すると外しにくくなります。
- 2自分の頭囲を実測し、その数値が商品ページのサイズ範囲の中央〜やや小さめに収まるモデルを2〜3候補に絞り込みます。この時点ではブランドやデザインにこだわりすぎず、まず実寸のレンジで機械的に絞り込むのがコツです。
- 3可能であれば実際に試着し、あご紐を締めた状態で頭を振ってずれの少なさを確認します。試着が難しい場合は、口コミレビューで似た頭の形・サイズ感についてのコメントを探すのも参考になります。購入後は、いつ・どこで着用すべきかを必ずジムのスタッフや講習会で確認してから実際の外岩・マルチピッチに使用してください。
サイズ選びで失敗しないために
ヘルメットは、帽子のサイズ感覚で選んでしまうと失敗しやすい道具です。ここでは通販で選ぶ際に、特に確認しておきたいポイントを整理します。
まず頭囲の測り方です。メジャーを、額のいちばん出っ張った部分と後頭部のいちばん出っ張った部分を通るように、水平にぐるっと一周させて測ります。普段かぶっている帽子のサイズとは基準が異なることがあるため、可能であれば実際にメジャーで測ってから商品ページのサイズ表と照らし合わせてください。
次に、あご紐の長さです。あご紐は、口を大きく開けたときにわずかに圧迫感がある程度まで締めるのが目安とされています。緩すぎると衝撃を受けたときにヘルメットが脱げてしまう危険があり、逆にきつすぎると長時間の着用で不快感につながります。試着ができない場合は、あご紐の調整幅が広いモデルを選んでおくと、通販でも失敗しにくくなります。
また、ヘッドライトや帽子、目出し帽(冬用のフェイスマスク)を併用する予定がある場合は、それらを着けた状態でもフィットするか、サイズに余裕を持たせて選ぶことも重要です。特に冬季クライミングやアルパインを視野に入れているなら、頭まわりの装備が増えることを見越して、範囲の中央〜やや大きめのサイズも検討してみてください。
通販で失敗しないためのチェックリスト
購入前に「①CE EN 12492またはUIAA認証のあるクライミング専用ヘルメットか」「②メジャーで測った頭囲をサイズ表と照らし合わせたか」「③想定する活動シーン(ジムの延長か、アルパインも視野に入れるか)に合った構造(ハードシェル/インモールド/ハイブリッド)を選んだか」の3点をチェックしておくと、通販での選び方の失敗を減らしやすくなります。
買ったあとに気をつけたいこと — 寿命・点検・保管方法
ヘルメットは見た目に大きな傷がなくても、内部の発泡素材やシェルの樹脂が少しずつ劣化していく消耗品です。特に初心者のうちは見落としがちな点をいくつか挙げておきます。
まず寿命の目安です。メーカーによって基準は異なりますが、一般的に「定期的に使用する場合は3〜5年程度」「まったく使用しない場合でも製造から10年程度」を目安に交換が推奨されているとされています。また、落下や強い衝撃を受けた場合は、見た目にひび割れなどの異常がなくても、内部の発泡素材が潰れて衝撃吸収性能が失われている可能性があるため、即座に使用を中止し、交換を検討するべきとされています。判断に迷う場合は自己判断せず、メーカーや専門店に相談してください。
紫外線や高温も劣化を早める要因です。使用後は、可能であれば固く絞った布で軽く汚れを拭き取り、直射日光の当たらない風通しの良い場所で保管することが推奨されています。車内など高温になる場所や、他の重い装備の下敷きにして保管すると、シェルが変形したり発泡素材が潰れたりする可能性があるため避けたほうがよいでしょう。
洗浄については、多くのメーカーでぬるま湯と中性洗剤を使った拭き取り・手洗いが推奨されており、シンナーや強い溶剤を含む洗剤、乾燥機の使用は避けるべきとされています。取り外し可能なパッドがあるモデルは、パッドだけを外して洗えるため、こまめな手入れがしやすくなっています。購入時に付属する取扱説明書やメーカー公式サイトの案内を必ず確認してください。
最後に、あご紐のバックルや調整ダイヤルに破損や動作不良がないかも、使用の前後で確認しておきたいポイントです。こうした細かな点検の積み重ねが、道具への理解を深め、結果的に自分自身の安全につながっていきます。
よくある質問
Qボルダリングジムでもヘルメットは必要ですか?
Aジムのボルダリングエリアでは、マットが敷かれ落石の心配もないため、基本的には不要とされています。ヘルメットが必要になるのは、屋外の岩場(外岩)やマルチピッチなど、落石やリード中の墜落による頭部への衝突リスクがある場面です。
Qビレイをする人もヘルメットをかぶるべきですか?
A外岩では、登っている本人だけでなく、下でビレイをしている人にも落石が当たるリスクがあります。多くのクライミング講習会やガイド団体が、外岩でのビレイヤーにもヘルメット着用を推奨しています。
Qハードシェル型とインモールド型はどちらを選べばいいですか?
A落石の多いエリアでの耐久性を重視するならハードシェル型、身軽さや長時間の着用を優先するならインモールド型が向いているとされます。両方のバランスを取ったハイブリッド型は、外岩デビューの1個目として選ばれやすいタイプです。
QCE EN 12492という表記は何を意味していますか?
A登山・クライミング用ヘルメット専用の欧州規格で、上方・側面・後方からの衝撃吸収性能やあご紐の強度などの試験基準を満たしていることを示します。自転車用ヘルメットなど別規格の製品をクライミング用として代用するのは避けたほうがよいとされています。
Qサイズはどうやって決めればいいですか?
A額のいちばん出っ張った部分と後頭部を通るように、メジャーで頭囲を水平に測り、商品ページに記載されたサイズ範囲の中央〜やや小さめに収まるサイズを選ぶのが目安です。あご紐を締めた状態で頭を振ってもずれないかも、可能であれば試着して確認してください。
Qヘルメットはどのくらいで買い替えるべきですか?
Aメーカーによって基準は異なりますが、定期的に使用する場合は3〜5年程度、使用頻度が低くても製造から10年程度が交換の目安とされています。また、落下や強い衝撃を受けた場合は見た目に異常がなくても使用を中止し、交換を検討するべきとされています。
Q軽量モデルと重いモデル、初めての1個にはどちらがいいですか?
A初めての1個であれば、300g前後のバランス型・ハイブリッド型から入り、実際に外岩やマルチピッチでの使用感を確かめてから、必要に応じて軽量モデルへステップアップする考え方もおすすめです。極端な軽量モデルは価格も高く、荒い扱いへの耐久性ではバランス型に劣る場合があります。
迷ったらこれ|この記事のNo.1

ブラックダイヤモンド ハーフドーム(Black Diamond HALF DOME) BD12012
参考価格 9,240円
向いている人:外岩デビューにあたり、まず1個を安心して選びたい人、耐久性を重視したい人
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