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普段はロードやジムのランニングマシンで走っているけれど、そろそろ山の中や河川敷の未舗装路を走ってみたい。そう思って道具を探し始めると、「トレイルランニングシューズ」という聞き慣れないカテゴリーにたどり着きます。見た目はごついスニーカーのようで、価格もロードシューズより高めのものが多く、アウトソール(靴底)のパターンやミッドソールの厚みなど、専門用語も並んでいて何を基準に選べばいいのか分かりにくいものです。実際、普段履いているロードランニングシューズのまま未舗装の坂道や岩場を走ると、滑って転倒しそうになったり、小石が靴の中に入り込んで痛い思いをしたりすることが少なくありません。トレイルランニングシューズは、そうした不整地特有のリスクに対応するために作られた専用の道具です。この記事では、ロードシューズとの違いから、アウトソールのグリップ、ミッドソールの保護性能、防水性の考え方まで、初心者が最初の1足を選ぶときに押さえておきたいポイントを順番に整理しました。最後には、実際に選ばれやすい4足も比較しています。
この記事でわかること
- ロードシューズのまま山道を走ると何が起きるか
- トレイルランニングシューズのスペックで何が変わるのか
- 「アウトソール(グリップ)」の読み方 — ラグの深さと形状が命
- 「ミッドソールとドロップ」の読み方 — クッションと保護のバランス
- 「重量」と「防水性」の読み方
- コース別に見る3タイプ
初心者におすすめのトレイルランニングシューズ4選
候補の紹介に入る前に、一点触れておきます。これらを使えば必ず速く走れる、という話ではありません。いずれも大手スポーツメーカーの商品ページ上でトレイルランニング用として案内されているものを中心に、価格帯やグリップ・クッションのバランスが異なる4足を選びました。表示価格は記事作成時点のものです。セールや在庫状況により変わることがあります。購入前に商品ページで最新の価格・在庫・選べるサイズを確認してください。
4足を並べると、価格帯とグリップ・防水性能のバランスで役割が分かれているのが分かります。ミズノはコストを抑えたクッション重視のエントリーモデル、アシックスはそこから少し価格が上がる代わりに走破性とクッションを両立したモデル、ホカは定番シリーズの最新アップデートで長距離向けのクッション性を追求したモデル、サロモンはグリップと防水性を最優先した本格志向のモデルという住み分けになっています。
どれがベストかは、走る予定のコースの傾向、天候条件、そして予算によって変わります。まず費用を抑えて試したいなら1足目、走破性とクッションのバランスを重視するなら2足目、長距離走行での足の保護を優先するなら3足目、雨天や本格的な岩場でのグリップを最優先したいなら4足目、という基準で選べば、大きな失敗は避けられるはずです。価格・仕様は変動しやすいため、購入前に商品ページで最新の状態を確かめておくと安心です。
価格だけで比べると、ミズノとアシックスの2足が比較的手頃に見えるかもしれません。ただし、この2足は防水メンブレンを採用していない点は押さえておいてください。GORE-TEXなどの防水モデルに比べると、水たまりや川渡りの多いコースでは靴の中が濡れやすいとされていますが、通気性がよく蒸れにくいという利点もあります。まずはこの2足でトレイルランを始めてみて、走る頻度やコースの傾向が固まってきてから、防水モデルへのステップアップを検討するという考え方も十分にありです。
また、今回はいずれも大手メーカーの商品ページ上でトレイルランニング用として明記されているモデルを選びましたが、シューズ選びに正解は一つではありません。同じ価格帯・同じラグ深さでも、メーカーごとにラスト(木型)の形状や履き心地の作り方には大きな違いがあります。可能であれば、この4足に近いスペックのモデルを店頭で実際に試し履きしてみると、自分の足によりフィットする1足が見つかりやすくなります。

ミズノ ウエーブダイチ5 トレイルシューズ J1GJ207146
参考価格10,626円
ミズノの定番トレイルモデル。クッション性を重視した設計で、メーカー自身が「初心者にもおすすめ」と案内しているエントリー向けの1足です。ミズノ公式ショップからの購入で、返品にも対応しています。
ここが良い
- メーカー公式ページで「初心者にもおすすめ」と案内されているエントリー向け設計
- クッション性重視で、長時間の不整地走行でも足への負担を抑えやすいとされる
- ミズノ公式ショップ購入で返品無料に対応しており、サイズ選びの失敗に備えやすい
注意点
- 2020年発売モデルのため、最新モデルに比べると素材や機能面はやや控えめとされる
- カラー展開が限られており、選べる色は在庫状況による

アシックス GEL-Trabuco14(ゲルトラブーコ14)1011C166
5.00(1件のレビュー)
参考価格12,320円
不安定なトレイル地形でも自信を持って走れるよう設計されたTRAILラストを採用したモデル。ASICSGRIPをアウトソールに配置し、FF BLAST MAXミッドソールで着地のやわらかさと反発力を両立しています。
ここが良い
- ASICSGRIPアウトソールでオフロードでの高いトラクションを追求した設計とされる
- 前モデルより約4g軽量化されており、長距離でも疲れにくさを意識した作り
- つま先スペースを拡大したトレイルLASTで、長時間走行時の快適さを狙った設計
注意点
- 実店舗直送商品を扱うショップの場合、在庫確認に時間がかかることがある
- カラーによってはサイズ欠けが出やすい人気モデル

HOKA スピードゴート7(SPEEDGOAT 7)1171928-BCKT
参考価格21,000円
トレイルランニングシューズの定番として知られるSPEEDGOATシリーズの最新モデル。新SCFミッドソールでエネルギーリターンを強化し、信頼性の高いフィット感とグリップ力はそのままに、砂利の侵入を防ぐゲイター対応仕様が加わりました。
ここが良い
- トレイルランニングシューズの定番として長年高い信頼性を積み重ねてきたシリーズ
- 厚めのミッドソールで岩や木の根からの突き上げを吸収しやすいとされる
- ゲイター対応仕様で、砂利や小石の侵入を防ぎやすい工夫が加えられている
注意点
- 厚底設計のため、地面からの距離が離れる分、足首の安定感に慣れが必要な場合がある
- ダンロップやミズノのエントリーモデルより価格は上がる

サロモン SPEEDCROSS 6 GORE-TEX 20 YEARS L491590
5.00(1件のレビュー)
参考価格24,200円
20年にわたりトレイルランニングシューズのアイコンとして愛されてきたSpeedcrossシリーズの20周年記念モデル。GORE-TEXによる防水性能と、深いラグによる高いグリップ力を備えています。
ここが良い
- GORE-TEX採用で雨天や水たまりの多いコースでも靴の中が濡れにくいとされる
- 深いラグパターンで、泥や急斜面など本格的な不整地でのグリップに優れるとされる
- クイックレースで着脱がスムーズ、レースや練習前の準備がしやすい
注意点
- 4足の中では最も高価格帯で、重量もやや重め
- 防水メンブレン採用のため、夏場の高温時は蒸れを感じやすい場合がある
■ スペック比較表
| 商品 | ミズノ ウエーブダイチ5 トレイルシューズ J1GJ20… | アシックス GEL-Trabuco14(ゲルトラブーコ1… | HOKA スピードゴート7(SPEEDGOAT 7)11… | サロモン SPEEDCROSS 6 GORE-TEX 2… |
|---|---|---|---|---|
| 参考価格 | 10,626円 | 12,320円 | 21,000円 | 24,200円 |
| 購入 | ||||
| 重量 | 約320g(27.0cm片方、目安) | — | — | 328g(目安) |
| シューズ幅 | 2E(ノーマル)相当 | — | — | — |
| 素材 | 合成繊維・人工皮革(アッパー)/合成底 | — | ポリエステル・ポリウレタン・ナイロン・熱可塑性ポリウレタン | — |
| インソール | カップインソール(取り外し可) | — | — | — |
| サイズ展開 | 23.0〜28.5cm | 24.5〜29.0cm | 25.0〜28.0cm | — |
| 原産国 | ベトナム | — | ベトナム | — |
| 足幅 | — | STANDARD | レギュラー/ワイズD相当 | — |
| アッパー素材 | — | 合成繊維・合成樹脂・人工皮革 | — | — |
| アウター素材 | — | ゴム底(ASICSGRIP) | — | — |
| ミッドソール | — | FF BLAST MAX(前作比+2mm厚) | — | — |
| カラー | — | Black/Clay Canyon、Aurora Green/Light Dust | — | — |
| 本体重量 | — | — | 約275g(28cm、目安) | — |
| 特徴 | — | — | 新SCFミッドソール、ゲイター対応、改良ヒールカラー | — |
| 防水性能 | — | — | — | GORE-TEX |
| アッパー | — | — | — | 合成素材/テキスタイル |
| アウトソール | — | — | — | ラバー(深めのラグパターン) |
| かかと部高さ | — | — | — | 33mm |
| 前足部高さ | — | — | — | 23mm |
| ドロップ | — | — | — | 10mm |
| シューレース | — | — | — | Quicklace(クイックレース) |
※ 表は横にスクロールできます。仕様は販売ページの記載にもとづく目安です。
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ロードシューズのまま山道を走ると何が起きるか
トレイルランニング(トレラン)は、舗装されていない山道や登山道、河川敷の砂利道などを走るスポーツです。普段ロードランニングをしている人の中には、「シューズはどれも同じだろう」と考えて、手持ちのロードシューズのまま未舗装路に足を踏み入れる人もいます。ですが、これはあまりおすすめできません。ロードシューズのアウトソールは、平らで硬いアスファルトの上で効率よく地面を蹴り出せるように設計されており、突起(ラグ)が浅く、泥や砂利の上では簡単に滑ってしまうことが多いためです。
実際に山道でロードシューズを履いて走ると、下り坂で踏ん張りが利かずに滑ったり、濡れた木の根や岩の上でグリップを失ってヒヤリとする場面が出てきます。転倒によるケガのリスクは、平坦なロードとは比べものにならないほど高くなります。また、ロードシューズのアッパー(甲の部分)は通気性を重視したメッシュ素材が多く、小石や砂、泥水が靴の中に入り込みやすいという問題もあります。走っている途中で靴を脱いで小石を出す羽目になった経験がある人も少なくないはずです。
トレイルランニングシューズは、こうした不整地特有の問題に対応するために、アウトソールに深く硬めのラグ(突起)を配置してグリップ力を高め、アッパーには小石の侵入を防ぐ工夫や、岩に足をぶつけたときの保護(トゥガード・つま先保護)を備えています。ミッドソール(クッション部分)も、長時間の不整地走行で足を守れるよう、ロードシューズとは異なる設計思想で作られていることが多いです。
とはいえ、「トレイルランニングシューズさえ履けば安全」というわけでもありません。道具はあくまで走りやすさとケガのリスクを下げる補助であり、走るコースの難易度や天候、自分の体力に合わせた判断が最終的には重要です。ですが、最低限の装備として自分の足に合ったトレイルランニングシューズを選んでおくことは、トレイルランを楽しく安全に続けるための土台になります。
なお、この記事で扱うのはあくまで「トレイルランニング用」のシューズです。似たジャンルに登山用のトレッキングシューズやハイキングシューズがありますが、これらは足首まで覆うハイカットで重く、歩くことを前提とした設計になっていることが多く、走ることを目的としたトレイルランニングシューズとは別物です。走るペースでコースを進みたいのか、じっくり歩いて登山を楽しみたいのかによって、選ぶべきカテゴリーが変わることも覚えておいてください。
この記事のスタンス
商品ごとの特徴については誰にでも当てはまるとは限らないため、「〜とされる」という表現を使っています。シューズの相性には個人差が大きく、一概に決めつけられるものではないためです。判断材料として使い、可能であれば購入前に実店舗で試し履きすることをおすすめします。
トレイルランニングシューズのスペックで何が変わるのか
トレイルランニングシューズの商品ページには、アウトソールのラグの深さ、ミッドソールの厚み(スタックハイト)、ドロップ(前後の高低差)、重量、防水性の有無など、さまざまな項目が並んでいます。最初からすべてを理解する必要はありませんが、初心者がまず押さえておきたいのは「アウトソールのグリップ」「ミッドソールのクッションと保護」「重量」「防水性」の4つです。この4つを見るだけで、そのシューズが「岩場や急な登山道向け」なのか「比較的走りやすい林道向け」なのかが、おおよそ判断できます。
たとえるなら、アウトソールのグリップはタイヤの溝、ミッドソールのクッションと保護は足を守るサスペンション、重量は足の疲れやすさに関わる要素です。溝が深ければ滑りやすい路面でも踏ん張りが利きますし、サスペンションがしっかりしていれば岩を踏んでも足裏へのダメージを抑えられます。初心者のうちは「グリップ」と「保護」を優先したほうが、転倒や足裏の痛みを避けながら不整地に慣れていくことができます。
一方で、グリップと保護を重視しすぎたシューズは、重量が増えたり、走ったときの反応が鈍く感じられたりすることもあります。これはトレードオフの関係で、どちらが正解ということではありません。まずは「これから走るコースは急な登山道が多いのか、それとも比較的なだらかな里山や河川敷の道が多いのか」を意識しておくと、スペックの数字が意味を持って見えてきます。
もう一つ見落とされがちなのが、走るフィールドの多様さです。トレイルランと一口に言っても、里山のなだらかな遊歩道を走る場合と、岩がゴロゴロした急峻な登山道を走る場合とでは、求められる性能がまったく違います。最初の1足を選ぶときは、自分が実際に走る予定のコースをイメージしながら選ぶことが遠回りに見えて一番の近道です。近くの練習用フィールドがなだらかな林道中心なのか、本格的な登山道が多いのかを事前に調べておくと、後悔しにくい選択がしやすくなります。
また、体格や体力の差も無視できません。トレイルランは長時間・長距離を不整地で走ることが多く、ロードランニング以上に足への負担が蓄積しやすい競技です。同じ「初心者向け」というくくりのシューズでも、週末に軽く林道を走りたい人と、本格的な大会を目標にしている人とでは、無理なく走れるシューズの傾向が変わってきます。スペック表の数字を見るときは、一般的な目安と同時に、自分がどのくらいの頻度・距離で走る予定かも判断材料に加えてみてください。
「アウトソール(グリップ)」の読み方 — ラグの深さと形状が命
アウトソールは靴底のことで、トレイルランニングシューズにとって最も重要なパーツのひとつです。表面に並ぶ突起は「ラグ」と呼ばれ、その深さや形状、配置によって、泥・岩・濡れた地面など、さまざまな路面でのグリップ力が決まります。商品ページには「ラグ深さ◯mm」と記載されていることが多く、この数値が大きいほど深いラグ、つまり不整地でのグリップ力を重視した設計とされています。
目安として、3〜4mm程度のラグ深さは比較的なだらかな林道や乾いた道向け、5mm以上の深いラグは泥や急斜面、岩場など本格的な不整地向けとされています。初心者がなだらかな里山コースから始める場合は、3〜5mm程度のバランス型を選んでおくと、幅広いコースに対応しやすいでしょう。逆に最初から泥だらけの本格的な登山道を走る予定がある人は、深めのラグを持つモデルを検討する価値があります。
ラグの配置も重要な要素です。かかと側と前足部側で異なるパターンのラグを配置し、ブレーキング(下りでの制動)とキック力(上りでの蹴り出し)の両方に対応させているモデルも多くあります。商品ページの写真でアウトソールのパターンを確認し、かかと部分に大きめのラグが配置されているかどうかも、下り坂の多いコースを走る予定がある人には見ておきたいポイントです。
アウトソールのゴム素材にも違いがあります。柔らかめのラバーは濡れた岩の上などでの粘着力(フリクション)が高いとされる一方、摩耗が早い傾向があるとも言われています。逆に硬めのラバーは耐久性に優れる一方、極端に滑りやすい路面ではグリップがやや劣ると感じることもあります。長く同じシューズを使いたい人は耐久性重視、グリップの効きを最優先したい人は柔らかめのラバーを採用したモデルを検討するとよいでしょう。
「ミッドソールとドロップ」の読み方 — クッションと保護のバランス
ミッドソールは靴底とアッパーの間にあるクッション材で、着地の衝撃を吸収し、不整地の凹凸から足裏を保護する役割を担います。商品ページでは「スタックハイト(かかと部・前足部の厚み)」や「ドロップ(かかとと前足部の高低差)」として数値が示されることが多く、これらの組み合わせによって走行時の感覚が大きく変わります。
スタックハイトが厚いモデルは、岩や木の根を踏んでも衝撃を吸収しやすく、長距離を走ったときの足裏の疲労を軽減しやすいとされています。ロード用のクッション系シューズと同じ発想で、長時間の不整地走行でも足を守ってくれる設計です。一方でスタックハイトが厚いと、地面からの距離が離れる分、足首の安定感がやや損なわれると感じる人もいます。初めてトレイルランに挑戦する人は、極端に厚いモデルよりも標準的な厚みのモデルから試すほうが、地面の感覚をつかみやすいかもしれません。
ドロップ(かかとと前足部の高低差)は、ロードシューズと同様にトレイルランニングシューズにも設定されています。ドロップが大きい(10mm前後)モデルは、かかと着地に慣れているランナーには扱いやすいとされ、ドロップが小さい(0〜4mm程度)モデルは、フォアフット寄りの着地や、より自然な走り方を意識したいランナーに向いているとされています。初心者のうちは、普段のロードシューズと近いドロップのモデルを選ぶと、走り方の違いに戸惑いにくいでしょう。
また、多くのトレイルランニングシューズには「ロックプレート」と呼ばれる、ミッドソール内に埋め込まれた薄いプレートが採用されています。これは鋭い石や木の根を踏んだときに、その突き上げを分散させて足裏を保護するためのパーツです。岩場が多いコースを走る予定がある人は、ロックプレートの有無も商品ページで確認しておくと安心材料になります。
「重量」と「防水性」の読み方
重量と防水性は、トレイルランニングシューズを選ぶうえで走行体験に直結する要素です。それぞれの考え方を整理しておきます。
重量は片足のグラム数で表記され、初心者向けのモデルはおおむね250〜330g程度に収まることが多いです。軽いシューズは足運びが軽快になりやすい一方、グリップや保護のためのパーツを絞り込んでいる場合もあります。逆に重めのシューズは、防水メンブレンやプレートなど保護機能を多く搭載していることが多く、長距離・長時間のトレイルランで足を守ってくれる設計になりがちです。最初の1足であれば、極端な軽量モデルよりも、300g前後のバランス型を選んでおくと失敗しにくいでしょう。
防水性については、「GORE-TEX(ゴアテックス)」に代表される防水透湿メンブレンを採用したモデルと、通気性を重視したメッシュアッパーのモデルに大きく分かれます。防水モデルは雨天時や水たまり、朝露で濡れた草地を走っても靴の中が濡れにくいという利点がありますが、通気性がやや劣り、蒸れやすいと感じる人もいます。逆にメッシュアッパーのモデルは通気性がよく蒸れにくい一方、水たまりや川渡りのある区間では靴の中まで水が浸入しやすくなります。
結論としては、自分が走る予定の季節や地域の気候で選ぶのが現実的です。雨の多い時期や冬場に走る機会が多いなら防水モデル、夏場の暑い時期に走ることが多いならメッシュアッパーのモデルを軸に検討するとよいでしょう。1足だけで年間を通してすべての条件に対応させようとするより、まずは自分が最も走る頻度の高い季節・条件に合わせて選び、余裕が出てきたら2足目で使い分けるという考え方も現実的です。
コース別に見る3タイプ
ここまで見てきたアウトソール・ミッドソール・重量・防水性の組み合わせによって、市販のトレイルランニングシューズはおおよそ3つの系統に分けられます。すべてのモデルがきれいに当てはまるわけではありませんが、店頭やネットショップで「このシューズはどのタイプだろう」と判断する目安として使ってください。
■ なだらかな林道・里山向け
ラグ深さ3〜4mm程度、重量280g前後の軽快なタイプです。舗装路に近い走りやすさを保ちながら、多少の未舗装路にも対応できます。ロードランニングからトレイルランに移行したばかりの人、なだらかな里山コースをメインに走る人に向いているとされています。
■ 本格的な登山道・岩場向け
ラグ深さ5mm以上、ロックプレート搭載、重量300g以上といった組み合わせが多いタイプです。急な登り下りや岩場でのグリップと保護を重視した設計で、標高差の大きい本格的な山岳コースを走る人に向いているとされています。初心者にはやや重く感じられることもあります。
■ 万能型(オールラウンド)
ラグ深さ4〜5mm、重量280〜320g程度と、走りやすさと保護のバランスが取れたタイプです。林道から軽い岩場まで幅広く対応できるとされ、初めての1足として最も選ばれやすい系統です。迷ったらこのタイプから探すのが無難です。
選び方の3ステップ
ここまでの知識を踏まえて、実際にトレイルランニングシューズを選ぶポイントを3つの手順に整理しました。この順序で見ていくと、数字の羅列に気を取られずに候補を選びやすくなります。
- 1自分が走る予定のコースの傾向を大まかに把握する。なだらかな里山や林道が中心であれば「なだらかな林道・里山向け」または「万能型」、標高差のある本格的な登山道が中心であれば「本格的な登山道・岩場向け」寄りから検討すると外しにくくなります。まだ走るコースが定まっていない場合は、まず「万能型」から選ぶのが無難です。
- 2アウトソールのラグ深さと重量で候補を絞る。目安として、ラグ深さ4〜5mm・重量280〜320g程度のレンジに入っているモデルを3〜5足ほどリストアップします。この時点ではブランドやデザインにこだわりすぎず、まずスペックのレンジで機械的に絞り込むのがコツです。
- 3可能であれば実際に試し履きする。トレイルランニングシューズはロードシューズよりもフィット感の個人差が出やすく、つま先の余裕(トウボックスの広さ)やかかとのホールド感は数字だけでは分かりません。登山用品店やランニングショップで試し履きできる場合は、実際に足を入れてみるのが確実です。試着が難しい場合は、口コミレビューで足幅や甲の高さが近い人の感想を探すのも参考になります。
足幅・甲の高さは実際に履いて確認するのが確実
トレイルランニングシューズはブランドによってラスト(木型)の形状が大きく異なり、同じサイズ表記でも足幅の余裕はかなり違います。特に長時間の不整地走行では、つま先が詰まっていると爪を痛める原因にもなります。可能な範囲で試し履きしてから決めることをおすすめします。
ロードランニングシューズとの兼用は可能か
すでにロードランニング用のシューズを持っている人の中には、「トレイル用に新しく買わずに兼用できないか」と考える人もいると思います。結論から言うと、軽い未舗装路(整備された遊歩道など)であれば手持ちのロードシューズでも走れないことはありませんが、本格的なトレイルランを楽しむのであれば、専用シューズを用意することをおすすめします。
理由は単純で、ロードシューズはアウトソールのグリップが不整地向けに作られていないため、下り坂や濡れた路面での転倒リスクが上がるためです。トレイルランでのケガの多くは、こうした滑りによる転倒や、足首のひねりが原因とされています。専用シューズのグリップ性能は、こうしたリスクを下げるための投資と考えると分かりやすいでしょう。
一方で、最初から高額なモデルを揃える必要はありません。今回紹介したミズノやアシックスのモデルのように、1万円台前半で購入できるエントリーモデルも十分な性能を備えています。まずは手頃な価格のトレイル専用シューズで不整地の走行感覚に慣れ、走る頻度やコースの本格度が上がってきたタイミングで、より専門性の高いモデルへのステップアップを検討する、という順番でも遅くはありません。
なお、トレイルランニングシューズをロードで日常的に使うことも避けたほうが無難です。深いラグはアスファルトの上では逆に接地感が不安定になりやすく、また硬い路面での摩耗も早く進みます。用途に応じてシューズを使い分けることが、結果的にそれぞれのシューズを長持ちさせることにもつながります。
買ったあとに気をつけたいこと
トレイルランニングシューズは、ロードシューズ以上に消耗の激しい環境で使う道具です。特に初心者のうちは見落としがちなメンテナンスのポイントをいくつか挙げておきます。
まずアウトソールの摩耗です。深いラグも使用を重ねるうちにすり減っていき、グリップ力は徐々に低下していきます。走行距離の目安として500〜800km程度で交換を検討するランナーが多いとされていますが、走るコースの路面状況(岩場が多いか、土がメインか)によっても摩耗のスピードは変わります。ラグの高さが目に見えて低くなってきたら、交換のサインと考えてよいでしょう。
次にアッパーの洗浄です。トレイルランでは泥や土がアッパーに付着しやすく、放置すると通気性メッシュの目詰まりや、素材の劣化につながることがあります。走った後はぬるま湯と柔らかいブラシで軽く汚れを落とし、直射日光を避けて陰干しするのが基本です。洗濯機での丸洗いは推奨されていないモデルが多いため、購入時の取り扱い説明を確認しておくと安心です。
防水モデルを選んだ場合は、防水性能の維持にも気を配りたいところです。GORE-TEXなどの防水透湿メンブレンは、アッパー表面の撥水コーティングが劣化すると、内部への浸水は防げても表面が水を吸って重く感じられることがあります。専用の撥水スプレーを定期的に使うことで、性能を長く保ちやすくなります。
最後に、複数のシューズをローテーションで使うという考え方も紹介しておきます。1足を毎回使い続けるよりも、2足を交互に使うことでミッドソールの回復時間を確保でき、結果的に1足あたりの寿命が延びやすいとされています。予算に余裕が出てきたら、性格の異なる2足目を検討するのも一つの方法です。
よくある質問
Qトレイルランニングシューズとロードランニングシューズ、何が一番違いますか?
A最も大きな違いはアウトソールのグリップです。トレイル用は泥や岩、濡れた路面でも滑りにくいよう深いラグ(突起)が配置されており、ロード用にはない設計です。加えて、小石の侵入を防ぐアッパーの工夫や、つま先を守るトゥガードなど、不整地特有のリスクに対応した機能が備わっています。
Q初心者はどのくらいのラグ深さを選べばいいですか?
A目安として4〜5mm程度のバランス型から探すのがおすすめです。なだらかな林道から軽い岩場まで幅広く対応できるとされ、最初のコース選びがまだ定まっていない段階でも扱いやすいためです。本格的な急峻な登山道を走る予定がある場合は、5mm以上の深いラグを検討してください。
Q防水(GORE-TEXなど)のモデルを選ぶべきですか?
A雨天や水たまり、朝露で濡れた草地を走る機会が多いなら防水モデルがおすすめです。ただし通気性はメッシュアッパーのモデルに比べて劣る傾向があり、夏場は蒸れを感じやすいこともあります。走る季節や地域の気候に合わせて選ぶとよいでしょう。
Qロードランニングシューズのままトレイルを走ってはいけませんか?
A整備された遊歩道など、ごく軽い未舗装路であれば走れないことはありませんが、下り坂や濡れた路面では滑りやすく転倒のリスクが上がるため、おすすめはできません。本格的にトレイルランを楽しむのであれば、専用シューズを用意することをおすすめします。
Qシューズのサイズはロードシューズと同じでいいですか?
Aブランドによってラスト(木型)の形状が異なるため、必ずしも同じサイズが合うとは限りません。特にトレイルランでは下り坂でつま先が前に当たりやすいため、普段より0.5cm程度大きめを選ぶランナーも多いとされています。可能であれば試し履きをして確認してください。
Qシューズの寿命はどれくらいですか?
A走行距離500〜800km程度が交換の目安とされていますが、走るコースの路面状況によって摩耗のスピードは変わります。アウトソールのラグが目に見えてすり減ってきたら、グリップ力が低下しているサインなので交換を検討してください。
Q予算はどれくらい見ておけばいいですか?
Aエントリーモデルであれば1万円〜1万2千円程度から揃えられます。防水メンブレンを採用した本格モデルは2万円台になることもあります。最初の1足であれば、無理に高額なものを選ぶ必要はなく、まずは自分が走る予定のコースに合ったグリップと保護性能を優先して選ぶのがおすすめです。
迷ったらこれ|この記事のNo.1

ミズノ ウエーブダイチ5 トレイルシューズ J1GJ207146
参考価格 10,626円
向いている人:とにかく費用を抑えて最初の1足を用意したい人、なだらかな林道中心で走り始めたい人
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