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シーズン初滑りの日、リフトを降りて緩斜面を滑り出した瞬間に「あれ、去年よりも滑らない」と感じたことはないでしょうか。板やブーツを買い替えたわけでもないのに、滑走がどこか重く、平地でスピードがすぐに落ちてしまう。多くの場合、その原因は板そのものではなく、滑走面(ソール)にワックスが残っていないことにあります。スキーやスノーボードの滑走面は雪との摩擦を減らすために特殊な素材で作られていますが、使い続けるうちにワックスの油分が抜け、乾燥した滑走面がむき出しになっていきます。乾いた滑走面は摩擦が大きくなるだけでなく、雪や汚れを吸着しやすくなり、白く粉を吹いたような状態(酸化)になってしまうこともあります。ワックスがけは、見た目をピカピカにするための作業ではなく、板の性能を維持し、滑走面そのものを保護するためのメンテナンスです。この記事では、なぜワックスがけが必要なのかという基本から、ホットワックスとリキッドワックスの違い、雪温に応じたワックス選び、自宅で作業するために必要な道具、実際の作業手順、そして頻度の目安までを順番に整理しました。最後には、初めて道具を揃える人が候補にしやすい4点も紹介しています。
この記事でわかること
- ワックスがけは「見た目」ではなく「保護」のための作業
- ホットワックスとリキッドワックス、まず違いを知る
- 「雪温」の読み方 — ワックスは気温ではなく雪温で選ぶ
- ホットワックスに必要な道具一式
- アイロン選びで見ておきたいポイント
- 自宅でのホットワックスの基本手順
初心者向けワックスがけ道具4選
ここからは実際の道具の候補です。ホットワックス初心者がまず揃えたい「ベースワックス」「クリーニングワックス」「アイロン」「ワクシングスタンド」の4点を、実在するメーカーの商品から選びました。掲載している価格は記事作成時点の参考情報です。変動する場合があります。購入前に商品ページで最新の価格・在庫を確認してください。
4点を並べると、それぞれ役割がはっきり分かれているのが分かります。ベースワックスとクリーニングワックスは消耗品として繰り返し購入するもの、アイロンとワクシングスタンドは一度揃えれば長く使える道具です。予算に限りがある場合は、まずベースワックスとアイロン(あるいは家庭にある道具で代用しつつ)から始め、作業を重ねる中でクリーニングワックスやワクシングスタンドを買い足していく進め方でも問題ありません。
初期費用をできるだけ抑えたい場合は、ベースワックス1本とスクレーパー・ブラシといった消耗品から揃え、アイロンは家庭用の使わなくなったアイロンを「ワックス専用」として転用する人もいます。ただし前述の通り温度管理の粗さにはリスクが伴うため、頻繁に作業するようになったら専用アイロンへの切り替えを検討するとよいでしょう。
道具を一通り揃えるとなると初期費用はまとまった金額になりますが、ショップでのホットワックスサービスは1回あたり2,000〜4,000円程度かかることが多く、シーズン中に何度も依頼すると考えれば、自宅で作業できる環境を整えるメリットは小さくありません。何より、自分の板の状態を実際に見ながらメンテナンスする習慣がつくことで、板への愛着や、コンディションの変化に気づきやすくなるという副次的な効果も期待できます。

ガリウム(GALLIUM) HYBRID BASE NF(100g)SW2221
参考価格2,310円
フッ素を使わずに高い滑走性能を狙った、レースシーンにも対応するベースワックス。雪温-25℃〜0℃という幅広い温度帯に対応しており、初めての1本としても扱いやすいオールラウンドタイプです。パウダースノー用としても案内されています。
ここが良い
- GALLIUM公式ストアが直接販売しており、正規品として安心して購入しやすい
- 対応雪温の幅が広く、初めての1本としてシーズンを通して使い回しやすい
- フッ素無配合で、近年の環境規制の流れにも対応した処方
注意点
- 100gと内容量は控えめで、頻繁に使う場合は早めになくなる可能性がある
- レース向けの性能を意識した設計のため、価格は同容量の入門向け製品よりやや高め

ガリウム(GALLIUM) クリーニングワックス(500g)SW2252
参考価格4,950円
滑走面にしみ込んだ古いワックスや汚れをリセットするための、ホットクリーニング専用ワックス。アイロンで溶かして塗り、スクレーパーで削り取ることで、リキッドクリーナーでは落としきれない構造内部の汚れまでケアできるとされています。
ここが良い
- 500gの大容量で、複数シーズンにわたって使い続けられるコストパフォーマンス
- ホット処理により、滑走面の構造内部の汚れまでアプローチしやすいとされる
- GALLIUM公式ストアが直接販売しており、正規品として安心して購入しやすい
注意点
- 毎回のワックスがけに使うものではなく、使用頻度は年に数回程度が目安
- クリーニング後は別途ベースワックスでの仕上げが必要になる

SWIX(スウィックス)デジタルスポーツワクシングアイロン T73D100J
参考価格21,000円
ノルウェー発のウィンタースポーツブランドSWIXのデジタル温度管理アイロン。マイクロプロセッサーによる温度制御で、ワックスの種類に応じた温度設定を細かく保ちやすいのが特徴です。厚みのあるプレートで熱ムラを抑えた設計とされています。
ここが良い
- デジタル表示で温度を数値管理でき、ワックスごとの推奨温度に合わせやすい
- 世界的なウィンタースポーツブランドの製品で、耐久性への信頼感がある
- 厚めのプレートで熱ムラを抑えやすいとされ、広い面積の作業に向く
注意点
- 4点の中で最も価格が高く、初期投資としてはまとまった出費になる
- 本格的な温度管理機能があるぶん、衣類用アイロンの代用に比べると操作を覚える必要がある

ガリウム(GALLIUM) ワックススタンドS&B(スキー・スノーボード兼用)SP3126
5.00(1件のレビュー)
参考価格14,080円
板を宙に固定して作業できる、スキー・スノーボード兼用のワクシングスタンド。組み立てが簡単な構造で、板を挟むベース部分は波型形状によりグリップ力が高められているとされています。収納ケース付きで持ち運びやすいのも特徴です。
ここが良い
- GALLIUM公式ストアが直接販売しており、正規品として安心して購入しやすい
- スキー・スノーボード兼用のため、家族で複数の道具を使う場合にも1台で対応しやすい
- 収納ケース付きで、使わない時期はコンパクトにしまっておける
注意点
- 4点の中で組み立て・収納にやや手間がかかる
- 重量が約4.7kgあり、頻繁に持ち運ぶ用途にはやや不向き
■ スペック比較表
| 商品 | ガリウム(GALLIUM) HYBRID BASE NF… | ガリウム(GALLIUM) クリーニングワックス(500… | SWIX(スウィックス)デジタルスポーツワクシングアイロ… | ガリウム(GALLIUM) ワックススタンドS&B(スキ… |
|---|---|---|---|---|
| 参考価格 | 2,310円 | 4,950円 | 21,000円 | 14,080円 |
| 購入 | ||||
| 内容量 | 100g | 500g | — | — |
| 対応雪温 | -25℃〜0℃ | — | — | — |
| フッ素配合 | 無配合(NF) | — | — | — |
| 推奨アイロン温度 | 130℃以下 | 110℃以下 | — | — |
| 販売元 | GALLIUM公式 楽天市場店 | GALLIUM公式 楽天市場店 | — | — |
| タイプ | — | ホットクリーニング専用(パラフィンベース) | — | — |
| 生産国 | — | 日本製 | — | — |
| 電圧 | — | — | 100V | — |
| 消費電力 | — | — | 850W | — |
| 温度調整 | — | — | デジタル表示・マイクロプロセッサー制御 | — |
| 対応 | — | — | スキー・スノーボード兼用 | スキー・スノーボード兼用 |
| ブランド | — | — | SWIX(ノルウェー) | — |
| サイズ(縮小時) | — | — | — | 71cm×91cm |
| サイズ(拡張時) | — | — | — | 72cm×97cm |
| 収納サイズ | — | — | — | 110cm×14cm×40.5cm |
| 重量 | — | — | — | 約4.7kg |
※ 表は横にスクロールできます。仕様は販売ページの記載にもとづく目安です。
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ワックスがけは「見た目」ではなく「保護」のための作業
ワックスがけと聞くと、板の滑走面をツヤツヤに仕上げる化粧直しのような作業をイメージする人も多いかもしれません。ですが実際には、ワックスの役割はもっと機能的なものです。スキーやスノーボードの滑走面には、ポリエチレン系の素材に無数の細かい気孔(穴)が空いており、ワックスはこの気孔にしみ込むことで、滑走面に潤いと柔軟性を保たせています。ワックスが抜けて乾燥した滑走面は、雪との摩擦が増えるだけでなく、紫外線や乾燥によって表面が硬化し、微細なひび割れが入りやすくなるとされています。
このひび割れや酸化が進んだ滑走面は、後からワックスを塗ってもすぐには潤いを取り戻しにくくなります。つまりワックスがけを怠ることは、単に「その日の滑りが重くなる」だけでなく、板そのものの寿命を縮めることにもつながる可能性があるということです。逆に言えば、定期的にワックスがけをしている板は、シーズンを重ねても滑走面のコンディションを保ちやすく、結果として板を長く使い続けられるとも言われています。
また、ワックスは滑走性能だけでなく、エッジ(金属の縁)の保護にも関係しています。滑走面と密着したワックスの層は、雪面からの湿気がエッジの根元に入り込むのをある程度防ぐ役割も担っているとされ、シーズンオフの長期保管前には特にこの保護効果が重要になります。シーズン終了後に汚れを落とさず、ワックスも塗らずにそのまま数か月放置してしまうと、次のシーズンに出してみたらエッジがうっすら錆びていた、という経験をする人も少なくありません。
この記事で紹介する内容は、レース選手が行うような細かい温度帯ごとの使い分けやチューンナップというよりは、一般のゲレンデユーザーが「板を長持ちさせながら、気持ちよく滑れる状態を保つ」ために必要な範囲に絞っています。ショップに依頼するホットワックスサービスも便利な選択肢ですが、シーズン中に何度も通うとなると費用も時間もかかります。基本の道具と手順さえ知っておけば、自宅で十分に対応できる作業でもあります。
この記事のスタンス
ワックスの効果や作業の仕上がりには、雪質・気温・滑走面の状態など多くの変数が関わるため、「必ずこうなる」という断定は避け、効果を保証する内容ではないため、断定を避けた表現にしています。初めて道具を揃える際の判断材料としてお使いください。
ホットワックスとリキッドワックス、まず違いを知る
ワックスがけの方法は、大きく分けて「ホットワックス」と「リキッド(塗るだけ)ワックス」の2種類があります。どちらも滑走面にワックス成分を入れる点は共通していますが、仕組みと効果の持続性に違いがあります。
ホットワックスは、固形のワックスをアイロンで溶かし、滑走面にしみ込ませてからスクレーパー(専用のヘラ)で余分なワックスを削り取り、最後にブラシで仕上げる方法です。アイロンの熱で滑走面の気孔を開かせながらワックスを流し込むため、ワックスが内部までしっかりと浸透しやすいとされ、効果も比較的長く持続する傾向があります。反面、アイロンやスクレーパー、作業スペースなど、一定の道具と手間が必要になります。
一方のリキッドワックスは、スプレーや液体タイプのワックスを滑走面に塗り、コルクやスポンジで伸ばすだけの簡易的な方法です。作業時間が短く、ゲレンデの駐車場でも手軽に行えるのが利点ですが、ワックスが滑走面の表面にとどまる割合が高いとされ、持続性はホットワックスに比べて短くなりやすいと言われています。シーズン中の「今日だけ滑りをよくしたい」という場面や、ホットワックスの合間のつなぎとして使うのに向いた方法です。
どちらが優れているというより、目的によって使い分けるものだと考えてください。月に1〜2回程度ゲレンデに行く人であれば、シーズン初めと数回に一度のホットワックスを基本にしつつ、滑りが重いと感じた日にリキッドワックスで補うという組み合わせが現実的です。この記事では、より効果が長持ちしやすいとされるホットワックスを中心に、必要な道具と手順を解説していきます。
「雪温」の読み方 — ワックスは気温ではなく雪温で選ぶ
ワックスの商品パッケージには、多くの場合「0℃〜+10℃」「-10℃〜0℃」のように温度帯が表示されています。これは気温ではなく、滑走面が接する雪の温度(雪温)の目安です。雪温は気温よりもやや低くなる傾向があり、また日中の日射や気温の変化によっても変動します。
雪温が高い(湿った雪・気温が高い日)ときは、水分の抵抗を減らすために柔らかめのワックスが向いているとされ、逆に雪温が低い(乾燥した粉雪・厳冬期)ときは、硬めのワックスのほうが滑走面を保護しつつ抵抗を抑えやすいと言われています。パッケージの温度帯表示は、その日の気象条件からどのワックスを選べばよいかを判断するための、いわば「目安表」だと考えてください。
初心者のうちから雪温ごとに何本もワックスを使い分ける必要はありません。多くのメーカーが、幅広い温度帯をカバーする「オールラウンドワックス」や「ハイブリッドタイプ」を用意しており、まずは1本のオールラウンドワックスから始めて、滑る頻度が増えてきたら温度帯別のワックスを買い足していく、という進め方が無理がないでしょう。
また、フッ素の配合量によってもワックスの特性は変わります。近年は環境規制の観点から、国際大会でもフッ素入りワックスの使用が禁止される流れが進んでおり、市販されるワックスも「NF(ノンフッ素)」と表示された製品が主流になりつつあります。一般のゲレンデユーザーであれば、NFタイプのオールラウンドワックスを選んでおけば、性能・環境配慮の両面で無理のない選択になります。
ホットワックスに必要な道具一式
自宅でホットワックスを行うには、いくつかの専用道具が必要です。それぞれの役割を知っておくと、道具を選ぶときにも迷いにくくなります。
■ ワクシングアイロン
ワックスを溶かして滑走面にしみ込ませるための専用アイロン。家庭用の衣類用アイロンで代用しようとする人もいますが、温度設定が粗く滑走面を焦がすリスクがあるため、専用のワクシングアイロンを使うことが推奨されています。多くのモデルは温度をデジタル表示で細かく設定でき、ワックスの種類に合わせて調整しやすくなっています。
■ スクレーパー
アイロンで溶かして冷え固まったワックスの余分な部分を削り取るためのヘラ。プラスチック製が一般的で、滑走面を傷つけにくい素材が使われています。刃先が摩耗すると削り取りにくくなるため、定期的な交換や研磨が必要になる消耗品でもあります。
■ ブラシ(ナイロン・馬毛など)
スクレーピングのあとに滑走面を仕上げるための道具。ナイロンブラシは粗めの仕上げに、馬毛ブラシは仕上げの艶出しに使われることが多く、複数の毛質を段階的に使い分けることで、余分なワックスをしっかり落としながら滑走面の構造(溝)を整えやすくなるとされています。
■ ワックス(固形)
アイロンで溶かして使う板状・スティック状のワックス本体。前述の通り、まずは温度帯の広いオールラウンドタイプを1本用意しておくと使いやすいでしょう。
■ ワクシングスタンド・バイス
板を宙に固定して作業するための台。床に直接置いて作業することもできますが、板が動いてしまうと均一にアイロンをかけにくく、作業効率も安定感も大きく変わります。特にスキー板は2枚を同時に固定できるタイプが多く、作業のしやすさに直結する道具です。
■ クリーニングワックス(任意)
滑走面に染み込んだ古い油分や汚れを、通常のワックスがけの前に一度リセットするための専用ワックス。シーズン初めや長期間メンテナンスしていなかった板に使うと、その後のワックスの効きが良くなるとされています。毎回使う必要はなく、年に数回のケアとして取り入れるのが一般的です。
衣類用アイロンの代用について
家庭用の衣類用アイロンは温度設定の刻みが粗く、想定より高温になりやすいため、滑走面を熱で傷める(焦がす・変形させる)リスクがあるとされています。頻繁に作業するのであれば、多少コストがかかっても温度管理のしやすい専用アイロンを用意することをおすすめします。
アイロン選びで見ておきたいポイント
ワクシングアイロンは道具一式の中でも価格の幅が大きく、初めて選ぶときに迷いやすい部分です。見ておきたいポイントを整理します。
まず温度設定の方式です。ダイヤル式は感覚的に操作しやすい一方、細かい温度の再現性はやや劣るとされています。デジタル表示式は数字で温度を確認しながら作業できるため、ワックスの種類ごとに推奨される温度(多くは110〜150℃程度)に正確に合わせやすく、滑走面を傷めるリスクを抑えやすいと言われています。作業頻度が高くなりそうな人ほど、デジタル式のメリットを感じやすいでしょう。
次にプレート(底面の熱する部分)の厚みと重量です。プレートが厚いモデルは熱容量が大きく、板の上を滑らせても温度が急激に下がりにくいとされ、広い面積を均一に仕上げやすい傾向があります。一方で重量があるぶん、長時間の作業では手首や腕への負担も大きくなるため、作業する板の枚数や頻度も考慮して選ぶとよいでしょう。
消費電力(W数)も、温まるまでの時間や熱の持続力に関わる要素です。家庭用コンセントで使うことを前提に、多くの専用アイロンは100V・800W前後で設計されています。海外製品を個人輸入する場合は電圧の互換性に注意が必要ですが、国内正規品であれば基本的に気にする必要はありません。
自宅でのホットワックスの基本手順
道具が揃ったら、実際の作業の流れを確認しておきましょう。初めての場合は、板を傷つけないよう、焦らず順番通りに進めることが大切です。作業前には板をスタンドやバイスでしっかり固定し、換気のよい場所で行うようにしてください。
- 1滑走面の汚れを落とす。乾いた布やナイロンブラシで、滑走面についた土やほこりを軽く払っておきます。汚れが目立つ場合は、先にクリーニングワックスで一度リセットしておくと、このあとのワックスの効きがよくなるとされています。
- 2アイロンを規定温度に温める。使用するワックスのパッケージに記載された推奨温度(多くは110〜150℃程度)に設定し、アイロンが安定するまで数分待ちます。温度が高すぎると滑走面を焦がす原因になるため、初めのうちはやや低めから試すと安心です。
- 3ワックスをアイロンに当てて溶かし、滑走面に垂らす。アイロンの底面にワックスの角を軽く当てて溶かし、板の上に線を描くように点々と垂らしていきます。ワックスを直接、長時間アイロンで炙り続けると、成分が変質する場合があるとされているため、少しずつ溶かして垂らすのがコツです。
- 4アイロンで滑走面全体に伸ばす。垂らしたワックスの上をアイロンでゆっくりと滑らせ、滑走面全体に均一に広げていきます。同じ場所に長く留まると熱がこもりすぎるため、常に動かし続けることを意識してください。
- 5冷ます。ワックスを塗り終えたら、最低でも30分〜1時間程度、室温で自然に冷まします。急いで冷やそうとせず、ワックスが滑走面にしっかりしみ込むまで待つことが、仕上がりを左右する重要な工程です。
- 6スクレーパーで余分なワックスを削る。板の先端から後端に向けて、スクレーパーを一定の角度で当てながら、固まったワックスを削り取っていきます。溝(滑走面の構造)にワックスが残りすぎていると滑走抵抗になるため、白い粉状のワックスかすが出なくなるまで丁寧に削ります。
- 7ブラシで仕上げる。ナイロンブラシ、続いて馬毛ブラシの順に、板の進行方向に沿って一定方向にブラッシングします。滑走面の溝に残った微細なワックスかすを取り除きながら、表面を整えていく工程です。
初めての作業は「厚めに塗って、しっかり削る」意識で
慣れないうちはワックスの量やアイロンの温度加減がつかみにくいものです。ワックスは薄く塗るよりも、やや厚めに塗ってからスクレーパーでしっかり削り取るほうが、滑走面全体に均一にしみ込ませやすいとされています。削り残しが心配な場合は、スクレーパーをかける回数を増やして調整してください。
エッジの手入れも忘れずに
ワックスがけとあわせて意識しておきたいのが、板の縁にある金属製のエッジの状態です。エッジは雪面を捉えてターンやブレーキを支える重要な部分で、使い込むうちに角が丸まったり、サビが浮いたりします。
エッジの角度調整や研磨(シャープニング)は、専用の工具と一定の技術が必要な作業で、力加減を誤ると逆に滑りにくくなったり、板を傷めたりするリスクもあります。そのため本格的なエッジ研磨は、まずはショップでの作業に任せるという選択肢も十分に現実的です。自宅で対応しやすいのは、シーズン終了後や保管前に、乾いた布で軽くエッジの水分と汚れを拭き取り、うっすらとワックスやオイルを塗って保護しておく程度のケアです。
エッジにサビが浮いてしまった場合、軽度であれば専用の防錆スプレーやオイルで拭き取ることで対処できることもありますが、深く浸食したサビは滑走性能に影響することもあるため、状態がひどい場合はショップに相談することをおすすめします。エッジの手入れは、ワックスがけほど頻繁に行う必要はありませんが、シーズンオフ前の保管処理としては欠かせない工程です。
どのくらいの頻度でワックスがけをすべきか
頻度に「正解」はありませんが、目安として考えやすい基準を整理しておきます。
よく滑る人(月に数回以上ゲレンデに行く人)であれば、5〜8滑走日ごとを一つの目安にワックスがけを行うと、滑走面のコンディションを保ちやすいとされています。逆に、シーズンに数回程度しか滑らない人であれば、シーズン開始前に1回、そしてシーズン終了後の保管前に1回(このときはやや厚めに塗って剥がさずそのまま保管する「保管ワックス」にする人も多いです)の、年2回程度でも十分な効果が期待できます。
「滑りが重いと感じたとき」も、頻度に関わらずワックスがけを検討するサインの一つです。特に平地でスピードがすぐに落ちる、ターンの切り返しで急に引っかかる感覚がある、といった変化を感じたら、滑走面が乾燥している可能性があります。滑走面を実際に見て、白っぽく粉を吹いたような状態になっていないか確認してみるのもよい判断材料になります。
シーズン終了後の保管前ワックスは、特に重要な工程です。ワックスを塗ったまま剥がさずに保管することで、滑走面が長期間の乾燥や酸化から守られやすくなるとされています。次のシーズンに板を出したときは、保管用に厚く塗ったワックスを一度スクレーパーで落としてから、あらためて滑走用のワックスがけを行うとよいでしょう。
保管ワックスのポイント
シーズンオフの保管前は、通常のワックスがけよりも厚めに塗り、スクレーパーで削らずにそのまま保管するのが一般的な方法です。滑走面を長期間空気に触れさせないことが目的なので、仕上げのブラッシングも省略して構いません。
自宅で作業するときの注意点
ホットワックスは火や熱を扱う作業のため、自宅で行う際にはいくつか注意しておきたい点があります。
換気は必ず行ってください。ワックスを高温で溶かす際にわずかに煙や臭いが発生することがあり、狭い部屋で窓を閉め切ったまま作業すると気分が悪くなる場合があるとされています。作業中は窓を開ける、換気扇を回すなど、空気の流れを確保しましょう。
小さな子どもやペットが近くにいる環境では、アイロンの熱や溶けたワックスに触れてしまわないよう、作業中は目を離さないようにしてください。使用直後のアイロンやスクレーパーで削ったワックスかすも、冷めるまでは高温になっている場合があります。
床や作業台には新聞紙やレジャーシートを敷いておくと、削ったワックスかすの片付けが楽になります。ワックスかすはカーペットや衣類に付着すると落としにくいため、作業スペースはあらかじめ養生しておくことをおすすめします。
最後に、火気の取り扱いにも注意してください。ワクシングアイロンは高温になるため、通電したまま放置したり、可燃物の近くに置いたりしないようにしましょう。作業を中断するときは電源を切り、アイロンが完全に冷めてから片付けるようにしてください。
よくある質問
Qワックスがけは必ず自分でやらないといけませんか?
Aいいえ、ショップに依頼するホットワックスサービスを利用する方法もあります。頻度が少ない場合や、道具を揃える手間を省きたい場合はショップ依頼が手軽です。頻繁にゲレンデに行く人や、費用を抑えたい人には自宅での作業が向いています。
Q家庭用の衣類用アイロンで代用できますか?
A代用している人もいますが、温度設定の刻みが粗く想定より高温になりやすいため、滑走面を焦がすなどのリスクがあるとされています。頻繁に作業するのであれば、温度管理がしやすい専用のワクシングアイロンを用意することをおすすめします。
Qワックスがけの頻度はどれくらいが目安ですか?
Aよく滑る人は5〜8滑走日ごと、シーズンに数回程度しか滑らない人はシーズン開始前と保管前の年2回程度が一つの目安とされています。滑りが重いと感じたときも、頻度に関わらずワックスがけを検討するサインです。
Q新品の板でもワックスがけは必要ですか?
A新品の板は工場出荷時にワックスが塗られていることが多いですが、そのワックスは輸送や保管中の保護が目的で、必ずしも滑走に最適な状態とは限りません。滑り始める前に一度、ベースワックスでのホットワックスを行っておくと安心です。
Qシーズンオフの保管前に気をつけることはありますか?
A滑走面の汚れを落としてから、通常より厚めにワックスを塗り、スクレーパーで削らずにそのまま保管するのが一般的な方法です。エッジの水分もよく拭き取り、うっすらとオイルなどで保護しておくと、サビの予防につながるとされています。
Qクリーニングワックスは毎回使う必要がありますか?
A毎回使う必要はありません。シーズン初めや、長期間メンテナンスをしていなかった板をリセットする目的で、年に数回程度使うのが一般的です。通常のワックスがけの前に一度行うことで、その後のワックスの効きがよくなるとされています。
Q道具一式を揃える予算はどれくらい見ておけばいいですか?
Aベースワックス・スクレーパー・ブラシといった消耗品と基本道具だけであれば数千円台から始められます。専用アイロンとワクシングスタンドまで含めた一式を揃える場合は、あわせて3万〜4万円程度を目安に考えておくとよいでしょう。
迷ったらこれ|この記事のNo.1

ガリウム(GALLIUM) HYBRID BASE NF(100g)SW2221
参考価格 2,310円
向いている人:まず1本、信頼できるメーカーのベースワックスを揃えたい人
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