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休日に少し遠くまで走るロングライドとは別に、「テントと寝袋を積んで、何泊かかけて知らない土地を走ってみたい」——そんな目的でロードバイクの購入を検討し始めると、ある壁にぶつかることがあります。多くのロードバイクやクロスバイクには、フレームやフォークに荷物を固定するための金具を取り付ける「台座(ダボ穴)」がなく、サドルバッグやフロントバッグ程度の荷物なら積めても、テントや調理道具まで含めた本格的な荷物を安定して積むようには作られていないのです。実際、数日分の着替えや寝袋を積んだ状態で悪路を走り続けると、フレームやホイールに想定以上の負荷がかかり、最悪の場合は破損につながることもあります。この記事で扱う「ツーリングバイク」は、そうした荷物を積んで長距離・長期間走ることを前提に設計された自転車のカテゴリーです。国内では「ランドナー」と呼ばれることもある、この特殊な自転車の選び方を、フレームの台座、フレーム素材、ギア比という3つの視点から整理し、比較検討の対象になりやすい2台と、積載に欠かせないアイテム2点も合わせて紹介します。
この記事でわかること
- ロードバイクやグラベルバイクとは「前提」が違う
- 「台座(ダボ穴)」の読み方 — 荷物をどこに固定できるか
- 「フレーム素材」の読み方 — なぜツーリングバイクにはクロモリが多いのか
- 「ギア比」の読み方 — 積載時は軽いギアが正義
- 目的別に見る2タイプ
- 選び方の3ステップ
ツーリングを始めるための4選
ここでは絞り込んだ候補を紹介していきます。最初に触れておきたいのは、これらを使えば必ず快適なツーリングができる、という話ではありません。いずれも商品ページ上で「ツーリング」「ダボ穴付き」として案内されているものを中心に、ツーリングバイク本体2台と、積載に欠かせないアイテム2点を選びました。こちらの価格は目安として記事作成時点のものを掲載しています。購入前に商品ページで最新の価格・在庫・選べるサイズを確認してください。
4アイテムを並べると、車体2台とキャリア・バッグ類2点で役割が分かれているのが分かります。マリンのNICASIOはクロモリフレームで650B化にも対応する拡張性重視のモデル、アラヤのMuddy Fox Touringはアルミフレームで軽い坂道用ギア比を備えたモデル、ミノウラのMT-800Nは積載の出発点となるリアキャリア、そしてオーストリッチのP-115はキャリアに取り付けて使う定番のサイドバッグといった立ち位置になります。
ツーリングバイクは、車体だけを購入しても、そのままではキャンプ道具を積んで走ることはできません。台座付きの車体を選んだら、必ずリアキャリアとパニアバッグ(またはサドルバッグなど)を合わせて用意することをおすすめします。まず費用を抑えてアルミフレームから試したいなら2台目、拡張性を重視して長く使いたいなら1台目という基準を軸にすると、判断しやすくなるでしょう。表示している価格・仕様は変わることがあります。購入前に商品ページで最新情報を確認してください。
また、今回はいずれも台座やダボ穴が明記されている、積載前提のモデルを選びましたが、ツーリングバイク選びに正解は一つではありません。同じ「ツーリングバイク」というジャンルでも、想定している荷物量や走行距離によって適した組み合わせは変わります。まずは日帰りや1泊程度の荷物量から試してみて、実際に走りながら自分に合った積載スタイルを見つけていくという考え方でも十分です。

マリン(MARIN)NICASIO(ニカシオ)スチールフレーム ツーリングバイク
参考価格113,300円
クラシックバイクのスピリットを踏襲しつつ現代的なアレンジを施したモデル。バテッドクロモリフレームとクロモリフォークを採用し、フレーム・フォークともにフェンダー&ラック用の台座を備えています。650Bホイールにも対応した最大47cのタイヤクリアランスがあり、オンロード・オフロードどちらのツーリングにも対応しやすい設計です。
ここが良い
- 前後フェンダー・ラック用の台座がそろっており、積載を前提にした構造になっている
- 650Bホイールへの交換にも対応しており、未舗装路寄りのツーリングにも拡張しやすい
- 全国チェーンのサイクルベースあさひが販売しており、店舗での相談やアフターサービスも受けやすい
注意点
- 西日本限定商品のため、受け取り可能地域が限定されている
- フロントギアが50/34Tと、次に紹介するモデルに比べるとやや重めの設定

アラヤ(ARAYA)Muddy Fox Touring(マディフォックス ツーリング)
参考価格126,720円
「MuddyFoxシリーズからの新たなる提案」として案内される、積載を前提に設計されたツーリングバイク。軽量なアルミトリプルバテッドフレームにインナーケーブルルーティングを採用し、フォークには3つの台座(ダボ穴)を設けてキャリアの取り付け自由度を広げています。フロントギアは46/30Tと、坂道での積載を意識した軽めの設定です。
ここが良い
- フォークに台座が3箇所あり、フロントキャリアやボトルケージなど取り付けの自由度が高い
- フロントギア46/30Tと軽めの設定で、荷物を積んだ状態の坂道を意識した構成になっている
- アルミフレームで、クロモリモデルに比べて車体重量を抑えやすい
注意点
- スタンドは付属しないため、別途用意する必要がある
- 完成車の組み立て(前後輪・シートポストの取り付け)が必要で、慣れていない場合は実店舗での購入が無難とされる

ミノウラ(MINOURA)MT-800N リアキャリア
4.89(9件のレビュー)
参考価格5,500円
ツーリングバイクに荷物を積むために欠かせない、パニアバッグ対応のリアキャリア。軽量で丈夫なスチールパイプ製で、取付けステーは長さや角度を自由に調整できる構造です。天板にはゴム紐用のフックが4箇所あり、ツーリング用パニアバッグ(フック内径10mm)を装着できます。
ここが良い
- 4台の中でもっとも価格が手頃で、まず積載を試してみたい人にリスクが少ない
- 取付けステーの角度・長さを調整できるため、フレーム形状の違いにある程度対応できる
- 掲載時点でレビュー評価4.89(9件)と、実際の使用者の評価を確認しやすい
注意点
- 700Cホイールや27インチのツーリングバイクに取り付ける場合、別売の「FB金具」が追加で必要になることがある
- 耐荷重18kgが上限のため、荷物量が多い本格的なキャンプツーリングでは積載計画に注意が必要

オーストリッチ(OSTRICH)P-115 パニアバッグ ペア
5.00(2件のレビュー)
参考価格7,849円
リアキャリアに取り付けて使う、左右1セットのサイドバッグ(パニアバッグ)。軽量でかさばりにくく、輪行にも向いているとされ、長年にわたりツーリング・ランドナー愛好者に選ばれてきた定番モデルです。カラーはグレー・ネイビーブルー・ブラックの3色から選べます。
ここが良い
- 軽量でかさばりにくく、輪行時にたたんで持ち運びやすいという声がある
- 掲載時点でレビュー評価5.00(2件)と、長年の定番モデルとしての実績がある
- リアキャリアがあればすぐに取り付けられ、積載量をまとまった単位で増やせる
注意点
- 完全防水ではないため、雨天時はレインカバーなど別売アイテムの併用が推奨される場合がある
- 経年でバッグ内側の防水加工が劣化することがあるとされ、長期間使う場合はメンテナンスの意識が必要
■ スペック比較表
| 商品 | マリン(MARIN)NICASIO(ニカシオ)スチールフ… | アラヤ(ARAYA)Muddy Fox Touring(… | ミノウラ(MINOURA)MT-800N リアキャリア | オーストリッチ(OSTRICH)P-115 パニアバッグ… |
|---|---|---|---|---|
| 参考価格 | 113,300円 | 126,720円 | 5,500円 | 7,849円 |
| 購入 | ||||
| フレーム | Series 1 Double Butted CrMo(フェンダー・ラック台座、ディスク台座付き) | アルミ トリプルバテッド TIG溶接 | — | — |
| フォーク | CrMo(フェンダー・ラック用アイレット付き) | アルミ テーパードフォーク(台座3箇所) | — | — |
| ブレーキ | Tektro MDC400 機械式ディスク(160mmローター) | Tektro MD-C550 機械式ディスク(160mmセンターロックローター) | — | — |
| シフター | Shimano Claris(2×8速) | Shimano SORA デュアルコントロールレバー(2×9速) | — | — |
| クランク | FSA Tempo Compact 50/34T | PROWHEEL 46-30T(ギヤガード付き) | — | — |
| タイヤ | WTB Exposure 700C×36(最大47cまでのクリアランス、650B対応) | KENDA K192 700×38C(最大50Cまで対応、タイヤ銘柄により変動) | — | — |
| サイズ展開 | 50cm/52cm/54cm/56cm | — | — | — |
| 販売元 | サイクルベースあさひ楽天市場店(西日本限定商品) | — | Be.BIKE(楽天市場店) | ワールドサイクル ウェアハウス(楽天市場店) |
| スプロケット | — | Shimano CS-HG-400-9(11-32T) | — | — |
| 基本重量 | — | 約11.5kg(500mmサイズ) | — | — |
| 材質 | — | — | スチールパイプ(黒粉体塗装) | — |
| 取付け対象 | — | — | 24〜26インチが基本。27インチ/700Cは別売「FB金具」で対応可 | — |
| 製品重量 | — | — | 約1.2kg | — |
| 耐荷重 | — | — | 18kg | — |
| 対応オプション | — | — | ディスクブレーキアダプター、シートポストクランプ(別売) | — |
| 構成 | — | — | — | 左右1セット(ペア) |
| カラー展開 | — | — | — | グレー/ネイビーブルー/ブラック |
| 取り付け | — | — | — | リアキャリアへのフック掛け式 |
※ 表は横にスクロールできます。仕様は販売ページの記載にもとづく目安です。
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ロードバイクやグラベルバイクとは「前提」が違う
まず整理しておきたいのは、ツーリングバイクは「速く走るための自転車」ではなく「長期間、荷物を積んで走り続けるための自転車」だという点です。同じ「舗装路も未舗装路も走れる」という触れ込みのグラベルバイクと似ているように見えても、設計思想の出発点が異なります。グラベルバイクの多くは「軽快に走れることを保ったまま、少し荒れた路面にも対応できる」ことを目指して作られていますが、ツーリングバイクは「フル装備の荷物を積んだ状態で、何日も安定して走り続けられる」ことを最優先に設計されています。
この違いは、実際にカタログスペックを比較するとよく分かります。ツーリングバイクの多くは、フレームやフォークに前後の荷台(キャリア)やフェンダー(泥よけ)を固定するための「台座」があらかじめ用意されており、太めのタイヤを履かせるための余裕(クリアランス)も広く取られています。一方で、軽さやスピードを重視したロードバイクやグラベルバイクの上位モデルには、こうした台座が省略されていることが少なくありません。見た目が似ていても、いざキャンプ道具一式を積もうとしたときに、固定する場所がないというミスマッチが起こりうるのです。
また、ツーリングバイクは「壊れにくさ」や「現地での修理のしやすさ」も重視して設計されている傾向があります。旅先でパーツが破損した場合、街中のロードバイクショップですぐに代わりの部品が手に入るとは限りません。そのため、ツーリングバイクには広く流通している規格のパーツや、比較的シンプルな構造のコンポーネントが選ばれやすいという特徴もあります。速さや軽さを追い求める自転車とは、評価される基準そのものが違うと考えるとイメージしやすいでしょう。
この記事は「1泊以上の荷物を積んで、舗装路・未舗装路を問わず長距離を走りたい」という人を主な対象にしています。日帰りのロングライドが中心で、荷物もサドルバッグ程度に収めたいという場合は、この記事よりも一般的なロードバイクやグラベルバイクのほうが選びやすいかもしれません。まずは自分がどのくらいの荷物を、どのくらいの期間積んで走りたいのかを、大まかにイメージしてから読み進めてください。
この記事のスタンス
商品ごとの特徴については一律に当てはまるわけではないため、「〜とされる」という言い回しにしています。積載時の走行感には体格や荷物量による個人差が大きく、人によって感じ方が異なるためです。判断材料として使い、可能であれば購入前に実店舗で相談することをおすすめします。
「台座(ダボ穴)」の読み方 — 荷物をどこに固定できるか
台座とは、フレームやフォークに開けられたネジ穴のことで、荷台(リアキャリア・フロントキャリア)やフェンダーを固定するために使います。商品ページでは「ラック台座」「ダボ穴」「Rack and Fender Mounts」などと表記され、英語表記のスペック表しかない海外ブランドのモデルでは特に見落としやすい項目です。
ツーリングバイクを選ぶうえで、まず確認したいのがリア(後輪側)の台座です。荷物の重量配分は前輪よりも後輪に多く乗せるのが基本とされており、リアキャリアを固定できる台座があるかどうかは最優先で確認すべきポイントです。台座がないフレームでも、シートポストに取り付けるクランプ式のキャリアで代用できる場合がありますが、耐荷重は台座付きの製品に比べて低めに設定されていることが多く、積載量が多くなるほど不安が残ります。
次に、フロント(前輪側)の台座です。長距離・長期間のツーリングでは、前後に荷物を分散させたほうが走行時のバランスを保ちやすいとされ、フロントキャリアやフロントバッグ用の台座があると積載の自由度が広がります。日帰りや1泊程度であれば後輪側の荷台だけで足りることも多いですが、テント泊を含む本格的なツーリングを視野に入れているなら、フロント側の拡張性もチェックしておくと後悔しにくくなります。
また、フェンダー(泥よけ)用の台座も見落とされがちな項目です。雨天走行や未舗装路を走る機会が多いツーリングでは、泥はねを防ぐフェンダーの有無が快適性に直結します。台座がなくてもクリップ式のフェンダーで代用できますが、走行中の振動で外れやすいという声もあり、できれば台座付きのフレームを選んだほうが安心して使い続けられます。
「フレーム素材」の読み方 — なぜツーリングバイクにはクロモリが多いのか
ロードバイクの選び方でよく語られるアルミ・クロモリ・カーボンという3つのフレーム素材のうち、ツーリングバイクでは伝統的に「クロモリ(クロムモリブデン鋼)」が主流として選ばれてきました。近年は軽量なアルミフレームを採用したツーリングバイクも増えていますが、クロモリが根強く選ばれる背景には、ツーリングという用途ならではの理由があります。
クロモリは、しなやかにたわみながら衝撃を吸収する特性を持つとされ、重い荷物を積んだ状態でも急激な負荷を逃がしやすいと言われています。また、万が一フレームに亀裂やダメージが入った場合でも、溶接によって現地の自転車店で応急的に修理できる可能性があるという点も、長期の旅を前提にしたツーリングバイクで支持されてきた理由のひとつです。カーボンフレームは損傷すると専門的な修理設備がなければ対応が難しく、旅先でのトラブル対応という観点では不利になりやすいとされています。
一方で、近年増えているアルミフレームのツーリング・グラベル兼用モデルは、クロモリに比べて軽量に仕上げやすいという利点があります。日帰り〜数泊程度のライトなツーリングが中心で、車体の総重量を抑えたい人には、アルミフレームのモデルも十分な選択肢になります。フレーム単体の重量差は、フル装備の荷物を積んだ状態では体感しにくくなるとも言われており、「軽さ」よりも「積載時の安定感」を優先して選ぶ人が多いのも、このジャンルの特徴です。
なお、フレーム素材の違いは価格にも直結します。クロモリフレームのモデルはアルミフレームのモデルに比べて高価になりやすい傾向がありますが、その分、長く使い続けられる耐久性が期待できるとも言われています。最初の1台をどのくらいの期間・頻度で使う予定かを考えながら、フレーム素材と予算のバランスを見ていくとよいでしょう。
「ギア比」の読み方 — 積載時は軽いギアが正義
ツーリングバイクのスペック表でロードバイクと大きく異なるのが、フロントギア(クランクセット)の歯数です。ロードバイクのエントリーモデルが50/34T前後の組み合わせであるのに対し、ツーリングバイクでは46/30Tや48/38/28Tのように、より小さい歯数の組み合わせが採用されていることが多くあります。
これは、荷物を積んだ状態での坂道を想定した設計です。テントや食料、着替えなどをフル装備した状態の車体重量は、荷物なしのロードバイクに比べてかなり重くなります。この状態で急な上り坂に差し掛かったとき、軽いギアが用意されていないと、脚力だけで無理やり漕ぎ続けることになり、膝への負担や体力の消耗が大きくなりやすいとされています。
スプロケット(後輪側の歯数)についても、ツーリングバイクでは11-32T、11-34Tのように大きめの歯数まで用意されているモデルが目立ちます。フロントの小さいギアとリアの大きいギアを組み合わせることで、荷物を積んだ状態でも無理なくペダルを回せる「軽いギア」を確保しているわけです。逆に、見た目の変速段数の多さだけに注目してしまうと、実際に使う場面で「一番軽いギアでも坂がつらい」と感じることがあるため、段数そのものよりも、フロント・リアそれぞれの歯数の組み合わせを確認する習慣をつけておくとよいでしょう。
なお、ここで紹介しているギア比の考え方は、あくまで荷物を積んで坂を上ることを想定したものです。もし普段は身軽な状態で走ることが多く、たまに荷物を積む程度であれば、必ずしも最軽量のギア比にこだわる必要はありません。自分がどのくらいの重さの荷物を、どのくらいの頻度で積んで走るのかを踏まえて判断してください。
積載時の総重量イメージ
車体本体に加えて、リアキャリアとサイドバッグ(パニアバッグ)を装着し、テント・寝袋・着替え・調理道具などを積んだ場合、荷物だけで10〜20kg程度になることも珍しくないとされています。試乗の際は、可能であれば店員に相談し、荷重を意識した状態でのギアの重さを確認してみるのもひとつの方法です。
目的別に見る2タイプ
ここまで見てきた台座・フレーム素材・ギア比の組み合わせによって、市販のツーリングバイクはおおよそ2つの系統に分けられます。すべてのモデルがきれいに当てはまるわけではありませんが、店頭やネットショップで候補を絞り込む際の目安として使ってください。
■ ライト積載型(アルミフレーム中心)
前後にラック台座を備えつつ、フレームにはアルミを採用して軽さも確保したタイプです。10万円台前半で揃えやすく、日帰り〜数泊程度のツーリングや、通勤・普段使いと兼用したい人に向いているとされています。舗装路が中心の場合はキャリパーブレーキ、未舗装路や雨天走行が多い場合はディスクブレーキのモデルが選ばれやすい傾向があります。
■ 本格積載型(クロモリフレーム中心)
前後の台座に加え、フェンダー用の台座やより広いタイヤクリアランスを備えたタイプです。クロモリフレームによるしなやかな乗り心地と耐久性が特徴とされ、数週間単位の長期ツーリングやキャンプツーリングを視野に入れている人に選ばれやすい系統です。車体重量はやや重くなる傾向がありますが、積載時の安定感を重視する人には支持されています。
選び方の3ステップ
ここまでの知識を踏まえて、実際にツーリングバイクを選ぶ進め方を3ステップにまとめました。焦って1台目から完璧な装備を揃えようとする必要はありません。まずは無理のない範囲で1台を選び、実際に荷物を積んで走りながら、必要な装備を少しずつ買い足していくつもりで進めてください。
- 1積載イメージを大まかに固める。日帰り〜1泊程度でサドルバッグ・フロントバッグ中心なら、一般的なグラベルバイクや、台座付きのアルミフレームモデルでも対応できる場合があります。数泊以上のテント泊やキャンプツーリングを想定しているなら、前後の台座とフェンダー台座がそろったクロモリフレームのモデルを軸に検討すると外しにくくなります。
- 2前後の台座の有無とタイヤクリアランスを確認する。商品ページのスペック表で「Rack Mounts」「Fender Mounts」「台座」といった表記があるか、そしてタイヤの最大幅がどのくらいまで対応しているかを確認します。この2点だけでも、そのモデルがどこまで本格的な積載に対応しているかの目安がつかめます。
- 3可能であれば実店舗で相談し、荷物を積んだ状態をイメージしながら試乗する。フレームサイズの選び方の基本はロードバイクと同様ですが、ツーリングバイクは荷物を積んだ状態での重心バランスも重要になります。可能であれば、リアキャリアやサイドバッグを装着した状態を想定して、店舗スタッフに相談してみることをおすすめします。
完成車とキャリア・バッグ類は別売りが基本
多くのツーリングバイクは、フレームに台座は用意されていても、リアキャリアやパニアバッグ(サイドバッグ)は完成車には付属せず、別売りとして自分で選ぶ必要があります。車体本体の予算だけでなく、積載に必要なアイテムの費用もあらかじめ見込んでおくと、購入後に「積める場所はあるのに荷物を積む道具がない」という事態を避けられます。
積載計画で失敗しないために
ツーリングバイクは車体を選んで終わりではなく、荷物をどう積むかという計画も含めて「装備一式」として考える必要があります。ここでは、実際に積載を始める前に確認しておきたいポイントを整理します。
まず、荷物の重量配分です。一般的に、後輪側に荷重をかけすぎるとハンドリングが重くなりやすく、逆に前輪側に荷重をかけすぎると直進安定性が損なわれやすいとされています。目安として、重い荷物ほど車体の重心に近い位置(リアキャリアの低い位置やフレームバッグ)に配置し、軽くてかさばる荷物ほどサイドバッグの上部やフロントバッグに配置すると、走行時のバランスを保ちやすいと言われています。
次に、キャリアの耐荷重です。今回紹介したミノウラMT-800Nの耐荷重は18kgですが、これはキャリア単体の上限であり、車体全体の積載可能量とは別の数字です。フレームやホイールの耐荷重、そしてパニアバッグ自体の耐荷重も含めて、一番小さい数字がその自転車全体の積載上限になると考えておくと安全です。不安な場合は、購入した自転車店に相談し、想定している荷物量を伝えたうえでアドバイスをもらうことをおすすめします。
また、初めて積載走行をする際は、いきなり満載の状態で長距離を走るのではなく、近所を数キロ走ってみて、ハンドリングの変化やブレーキの効き方の違いに慣れておくことをおすすめします。荷物を積んだ状態は、空荷のときに比べて制動距離が伸びやすく、カーブでの車体の傾け方にも違いが出てきます。本番のツーリングの前に、一度は積載した状態での試走をしておくと安心です。
積載前チェックリスト
出発前に「①フレーム・フォークの台座にキャリアがしっかり固定されているか」「②キャリアの耐荷重に対して積載量が収まっているか」「③空荷の状態と比べてブレーキの効き方に違和感がないか」の3点を確認しておくと、積載走行での失敗を減らしやすくなります。
買ったあとに気をつけたいこと
ツーリングバイクは、通常のロードバイクよりも重い負荷がかかる場面が多い乗り物でもあります。特に積載を始めたばかりのうちは見落としがちな点をいくつか挙げておきます。
積載した状態での走行が増えると、フレームやホイールへの負荷も通常より大きくなります。納車後の初期点検はもちろん、積載を始めてからしばらくは、スポークの緩みやホイールの振れがないか、定期的にチェックしておくと安心です。特に長距離のツーリングに出る前には、購入した自転車店で点検を受けておくことをおすすめします。
また、キャリアやパニアバッグの取り付け金具は、走行中の振動で緩んでくることがあります。出発前だけでなく、走行中の休憩のタイミングでも、ボルトの緩みやバッグの固定状態を確認する習慣をつけておくと、荷物の落下などのトラブルを防ぎやすくなります。特に未舗装路を走る機会が多い場合は、振動も大きくなるため、こまめなチェックがより重要になります。
最後に、雨天時の対策です。パニアバッグの多くは完全防水ではなく、レインカバーの併用が推奨されている製品も少なくありません。特に電子機器や着替えなど濡らしたくないものは、バッグの中でさらに防水袋に入れておくといった二重の対策をしておくと、突然の雨でも安心して走り続けられます。
こうした細かなメンテナンスや点検は、積載という特殊な使い方をするツーリングバイクだからこそ、より重要になってくる部分です。道具を大事に使い、こまめに状態を確認する習慣をつけておくことが、結果的に長期間のツーリングを安全に楽しむための土台になります。
よくある質問
Qツーリングバイクとグラベルバイクは何が違うのですか?
Aグラベルバイクは「舗装路も未舗装路も軽快に走れること」を重視した設計が多いのに対し、ツーリングバイクは「荷物を積んで長距離・長期間走り続けられること」を重視した設計になっています。フレームやフォークに前後キャリア用の台座があるかどうかが、見分ける際の分かりやすい目安になります。
Q台座(ダボ穴)がない自転車には荷物を積めませんか?
Aシートポストに取り付けるクランプ式のキャリアなど、台座がなくても使えるアイテムはあります。ただし、台座付きの製品に比べて耐荷重が低めに設定されていることが多く、積載量が多い本格的なツーリングには不向きとされています。荷物量が多い場合は、台座付きのフレームを選ぶことをおすすめします。
Qツーリングバイクはなぜクロモリフレームが多いのですか?
Aクロモリはしなやかにたわみながら衝撃を吸収する特性を持つとされ、重い荷物を積んだ状態でも急激な負荷を逃がしやすいと言われています。また、フレームが損傷した場合に現地で溶接修理できる可能性がある点も、長期の旅を前提にした用途で支持されてきた理由のひとつです。
Qギア比はどのくらいを目安にすればいいですか?
A荷物を積んだ状態での坂道を想定すると、フロントギアは46/30Tや48/38/28Tのように小さめの歯数、リアのスプロケットは11-32T以上の大きめの歯数が用意されているモデルが目安になります。フロント・リアそれぞれの歯数の組み合わせを確認し、無理のない軽いギアが用意されているかをチェックしてください。
Qリアキャリアとパニアバッグはどう選べばいいですか?
Aまずキャリアの取付け対象(ホイールサイズやディスクブレーキ対応の有無)が自分の車体に合っているかを確認し、そのうえで耐荷重に余裕があるものを選ぶと安心です。パニアバッグは、キャリアのフック内径に対応したサイズかどうかを商品ページで確認してから選ぶと失敗しにくくなります。
Q初めての積載走行で気をつけることはありますか?
Aいきなり満載の状態で長距離を走るのではなく、近所を数キロ走ってハンドリングやブレーキの効き方の変化に慣れておくことをおすすめします。荷物を積んだ状態は空荷のときより制動距離が伸びやすいため、慣れないうちは速度を控えめにして走ることも大切です。
Q予算はどれくらい見ておけばいいですか?
A車体本体はアルミフレームのエントリーモデルで11万〜13万円程度、クロモリフレームの本格的なモデルはこれより高くなる傾向があります。加えて、リアキャリアが5,000〜1万円程度、パニアバッグが1個あたり数千円〜1万円程度が目安になります。最初は車体とリアキャリア、サドルバッグ程度から始めて、積載量に応じてパニアバッグなどを買い足していく方法でも問題ありません。
迷ったらこれ|この記事のNo.1

マリン(MARIN)NICASIO(ニカシオ)スチールフレーム ツーリングバイク
参考価格 113,300円
向いている人:舗装路中心のロングツーリングから、650B化してのオフロード拡張まで見据えたい人
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