ランニングをしている友人が腕につけているGPSウォッチを見て、「テニスの練習でも使えば、もっと効率よく上達できるのでは」と思ったことはないでしょうか。心拍数やカロリー、練習時間が数字で残るのは魅力的ですし、練習の記録をつけること自体がモチベーションにつながる人も多いはずです。ただし、GPSウォッチの多くはもともとランニングやサイクリングのように「まっすぐ長い距離を移動する運動」を想定して作られています。テニスコートの中を細かく動き回るスポーツとは、そもそも相性が良い部分と、あまり期待しないほうがいい部分があります。この記事では、GPSウォッチがテニスの練習でどこまで役に立つのか、逆にどの数値はあまり当てにならないのかを整理したうえで、実際に候補になりやすい4本を紹介します。
この記事でわかること
- GPSウォッチは「なんとなく便利そう」で選ぶと期待外れになりやすい
- そもそもGPSウォッチは何を計測しているのか
- テニスコートでGPSの「移動距離」はどこまであてになるか
- テニスの練習で優先して見るべきは「心拍数」
- 「ランニングモード」ではなく汎用モードで記録する
- 耐衝撃性・防水性・視認性 — ランニング用途以上に気にしたいポイント
最終更新:
テニスの練習に使えるGPS/スポーツウォッチ4選
ここからは実際の候補です。前提として、テニス専用として作られたモデルではなく、いずれもランニングやマルチスポーツ向けに設計されたモデルの中から、心拍計測の精度や耐衝撃性、汎用モードの使いやすさといった観点で候補になりやすい4本を選びました。価格は記事作成時点の参考価格で、変動する場合があります。購入前に商品ページで最新の価格・在庫・カラー展開を確認してください。
4本を並べると、価格帯とセンサー構成で役割がはっきり分かれているのが分かります。ガーミンとポラールは6〜8万円台で、光学式心拍センサーと本体GPSの両方を搭載したフル装備のモデル、COROSはその中間の価格でありながら軽さと2周波GPSを両立させたモデル、カシオは心拍センサーを持たない代わりに2万円台前半という手頃さと耐衝撃性を両立させたモデルという位置づけです。
心拍データを重視してテニスの練習を細かく振り返りたいなら1〜3本目、まずは価格を抑えて練習時間の記録や耐久性を試したいなら4本目、という選び方をすると失敗しにくいでしょう。いずれのモデルも、GPSによる移動距離やペースはあくまで参考値として捉え、心拍数や練習時間といった、テニスでも比較的信頼できるデータを中心に活用することをおすすめします。
価格・仕様は変動するため、購入前に必ず商品ページで最新の情報を確認してください。特にCOROS PACE 3は記事作成時点でYahoo!ショッピングでの本体取り扱いが見つからなかったため、楽天市場での購入を軸に検討するとよいでしょう。
また、今回はいずれもテニス専用ではなく汎用のGPSウォッチとして紹介しましたが、選び方に唯一の正解があるわけではありません。同じ価格帯でも、メーカーによって心拍センサーの読み取り方式やアプリの使い勝手には違いがあります。可能であれば、店頭で実機を試着し、画面の見やすさや装着感を確かめてから決めることをおすすめします。
■ スペック比較表
| 商品 | ガーミン スマートウォッチ INSTINCT 3 AMO… | ポラール Polar Vantage M3 ナイトブラッ… | COROS(カロス)PACE 3 ランニングウォッチ ス… | カシオ CASIO G-SHOCK GBA-950-1A… |
|---|---|---|---|---|
| 参考価格 | 79,743円 | 69,300円(メーカー希望小売価格) | 40,240円 | 20,240円 |
| サイズ | 50.00mm(径)×14.40mm(厚) | 44.7×44.7×12.2mm | — | — |
| 重量 | 59g(目安) | 53g | 約30g(超軽量、目安) | — |
| 防水性能 | 10ATM(100m防水) | WR50 | 5ATM | 20気圧防水 |
| センサー | GNSS・気圧高度計・加速度計・ジャイロセンサー・コンパス・光学式心拍計/血中酸素トラッキング | Elixir心拍センサー・気圧計・磁力計コンパス・加速度センサー・ジャイロスコープ・皮膚温センサー | 次世代光学式心拍センサー(LED5灯・光検出器4基) | 加速度センサー(歩数・カロリー・距離のライフログ計測) |
| スポーツプロファイル | ランニング・ゴルフなど90種類以上 | 150種類以上 | — | — |
| バッテリー | GPS約40時間、スマートウォッチ約24日間(目安、モードにより変動) | トレーニングモード(GPS1秒毎+心拍計測オン)最大30時間、スマートウォッチモード最大7日間(目安) | — | — |
| 耐久規格 | MIL-STD-810準拠 | — | — | — |
| スマート機能 | Garmin Pay(Suica対応)、音楽再生、通知 | — | — | — |
| GPS | — | デュアルバンドGNSS(GPS・GLONASS・Galileo・BeiDou・QZSS対応) | 2周波(デュアル周波数)高精度GPS搭載 | 本体非搭載。スマートフォンのGPSと連携し距離を補正 |
| 稼働時間 | — | — | フルGPS連続稼働約38時間、日常使用約17日間(目安) | — |
| スポーツモード | — | — | ラン・バイク・スイム・筋トレなど20種類以上 | — |
| ケースサイズ | — | — | — | 48.5×43.9×16mm |
| 質量 | — | — | — | 53g |
| 構造 | — | — | — | 耐衝撃構造(ショックレジスト) |
| 電池寿命 | — | — | — | 約2年(目安) |
※ 表は横にスクロールできます。仕様は販売ページの記載にもとづく目安です。
※ 価格・在庫は変動します。最新情報は各ストアでご確認ください。当サイトはアフィリエイトプログラムを利用しています。
GPSウォッチは「なんとなく便利そう」で選ぶと期待外れになりやすい
スポーツ用品店やネット通販でGPSウォッチのコーナーを見ると、色とりどりのモデルが並んでいて、どれも「高精度GPS」「心拍計測」「〇〇種類のスポーツモード」といった似たような言葉で紹介されています。ランニングやマラソンのための機能を前面に押し出した商品が多く、テニスというキーワードで検索しても、テニス専用をうたうモデルはほとんど見つかりません。
そのため「とりあえずGPSウォッチをつけてテニスをすれば、何かしらデータが取れるはず」と考えて購入し、実際に使ってみると、表示される走行距離やペースの数字が実際の感覚とズレていて、拍子抜けしてしまう人も少なくありません。これは製品の欠陥ではなく、そもそもテニスコートでの細かい移動を正確に測ることを想定して設計されていないためです。
とはいえ、GPSウォッチがテニスの練習にまったく役立たないわけではありません。心拍数の推移や練習時間、大まかな運動量の把握には十分に使えますし、日々の練習を記録として残しておくこと自体に価値があります。大事なのは「何が正確に測れて、何は参考程度にしかならないのか」を最初に理解しておくことです。
この記事では、テニスの練習でGPSウォッチをどう活用できるかを、良い面と限界の両方から具体的に説明していきます。ランニング向けに作られた機能をそのままテニスに当てはめようとすると期待外れになりやすい部分と、逆に競技の特性上むしろ重視すべきポイントを分けて考えることで、後悔しにくい選び方ができるはずです。
なお、この記事で扱うのはあくまで市販の汎用GPSウォッチであり、テニス専用に開発されたトラッキング機器(センサーをラケットに取り付けるタイプなど)とは別のジャンルです。ラケット装着型のセンサーはスイングの回転数やショットの種類を判別できる一方、価格や導入の手間も大きく異なるため、この記事では日常的に腕に着けて使うタイプのGPSウォッチに絞って解説します。
この記事のスタンス
「このGPSウォッチを使えばテニスが上達する」という書き方はしません。GPSウォッチはあくまで練習の記録・振り返りを助ける道具であり、上達そのものを保証するものではないためです。商品の特徴についても「〜とされる」「目安として」という表現にとどめ、断定は避けています。
そもそもGPSウォッチは何を計測しているのか
GPSウォッチと呼ばれる腕時計型のデバイスは、主に4つの仕組みでデータを集めています。1つ目は衛星測位(GPS・GLONASS・Galileoなど)による位置情報で、移動距離やペース、ルートの記録に使われます。2つ目は手首に光を当てて血流の変化を読み取る光学式心拍センサーで、心拍数や消費カロリーの推定に使われます。3つ目は加速度センサーとジャイロセンサーで、歩数や腕の動き、ときには衝撃の検知にも使われます。4つ目は気圧センサーで、標高や気圧の変化を測るものです。
この4つの中で、メーカーが「高精度GPS」「デュアルバンドGNSS」といった言葉で最も力を入れてアピールしているのが1つ目の衛星測位です。ランニングやサイクリング、登山のように「ある地点からある地点まで、比較的まっすぐに長い距離を移動する」運動であれば、GPSによる距離やペースの計測は実用的な精度で機能するとされています。
一方で、心拍センサーや加速度センサーは、移動方向や移動距離に関係なく、運動の「強度」や「動きの量」を捉えるためのセンサーです。これらは競技の種類をあまり選ばず、テニスのような多方向への細かい動きが多いスポーツでも、比較的そのまま活用しやすいという特徴があります。
つまりGPSウォッチと一口に言っても、内部では複数の異なるセンサーが別々の役割を担っています。テニスの練習で活用を考えるときは「GPSウォッチ全体」を評価するのではなく、「衛星測位で得られる距離・ペース系のデータ」と「心拍・加速度センサーで得られる強度・運動量系のデータ」を切り分けて考えることが、期待外れを防ぐ第一歩になります。
メーカーの商品ページやカタログでは、これらのセンサーの性能がひとまとめに「高精度」とうたわれていることが多く、どのセンサーがどの程度の精度なのかまでは書かれていないことがほとんどです。気になる場合は、商品ページのスペック表だけでなく、実際に使用したユーザーのレビューで「テニスやバドミントンのような室内・近距離競技での使用感」に触れているものがないか探してみると、判断材料が増えます。
また、屋内コートでプレーする場合は、そもそも衛星電波が屋根や壁に遮られてGPSがうまく機能しないこともあります。この場合でも心拍センサーや加速度センサーは引き続き動作するため、屋内コートを中心に使う人ほど「GPSの精度」よりも「心拍センサーの精度と使いやすさ」を優先して選ぶ意味合いが強くなります。
テニスコートでGPSの「移動距離」はどこまであてになるか
硬式テニスのシングルスコートは、縦が約23.77m、横が約8.23mです。この限られた範囲の中を、選手は前後左右に細かく動き、急な方向転換やダッシュとストップを繰り返します。ランニングのように一定方向へ数キロ移動する運動とは、動きの性質がかなり異なります。
市販のGPSウォッチが屋外で発揮する位置測位の誤差は、条件が良くてもおおむね数メートル単位とされています。ランニングのように移動距離が数キロにおよぶ場合、数メートルの誤差は全体からすればごくわずかな割合ですが、テニスコートのように移動範囲そのものが数メートル〜十数メートルしかない状況では、この誤差が無視できない大きさになります。
さらにGPSによる距離やペースの計算方式そのものが、基本的には「一定方向への連続的な移動」を前提に設計されています。テニスのような、細かいステップと急停止・方向転換を短時間に繰り返す動きは、GPSの座標データをなめらかに補正する処理(スムージング)によって、実際より短く、あるいは実際より長く表示されてしまうことがあるとされています。
このため、テニスの練習でGPSウォッチに表示される「移動距離」や「消費カロリーの内訳」は、大まかな目安として捉えるにとどめ、数値の細かい増減に一喜一憂しないほうが実用的です。同じコートで同じ強度の練習をしたときに、前回より数値が大きく変わったとしても、それがフォームや体力の変化を意味するとは限りません。
なお、この特性はGPSウォッチというジャンル全般に共通するもので、特定のメーカーやモデルに限った弱点ではありません。テニスコートという狭い範囲での高精度な移動計測は、そもそも一般的な消費者向けGPSウォッチが得意とする領域の外にあると理解しておくと、過度な期待を持たずに済みます。
近年は「デュアルバンドGNSS」と呼ばれる、複数の周波数帯を同時に受信することで測位精度を高める技術を搭載したモデルも増えてきました。ビルや樹木に囲まれた環境での測位精度向上が主な狙いですが、この記事で紹介する製品のようにテニスコートでの使用を想定すると、精度の向上分よりもコートの狭さそのものが誤差の主な原因になるため、過度な期待は禁物です。
テニスの練習で優先して見るべきは「心拍数」
GPSによる距離データがテニスに向かない一方で、心拍数のデータはテニスの練習管理にも活用しやすいとされています。理由は、テニスというスポーツの運動パターンにあります。
テニスの1ポイントは長くても数十秒、多くは数秒から十数秒で終わり、その後にサーバーが次のサーブを打つまで20秒前後、チェンジコートの際には90秒前後の休憩が挟まれます。つまりテニスは「短い高強度運動」と「短い休憩」を繰り返す、インターバルトレーニングに近い運動パターンを持っています。
心拍センサーは、この短い運動と休憩のたびに心拍数がどう上がり、どう下がるかを継続的に記録できます。ポイント間の休憩時間に心拍数がどこまで下がっているかは、そのときの疲労度や体力の回復力を反映するとされており、同じ練習メニューを続けたときに「以前より回復が早くなった」といった変化を、感覚だけでなく数値でも振り返りやすくなります。
また、ジュニア選手や運動を再開したばかりの人にとっては、練習中の心拍数が高くなりすぎていないかを確認する目安としても使えます。もちろん心拍数だけで体調や疲労のすべてが分かるわけではありませんが、「なんとなくきつかった」「思ったより余裕があった」という感覚を、練習後に数字で振り返る材料として活用する分には十分に実用的です。
この記事で紹介する4本はいずれも光学式の心拍センサーを搭載していますが、搭載しているセンサーの世代や、常時計測か運動時のみの計測かによって、精度や電池の持ちに違いがあります。心拍データを重視したい場合は、この点を商品ページで確認しておくとよいでしょう。
なお、光学式心拍センサーは手首の血流を読み取る方式のため、腕の動きが激しいスポーツでは瞬間的な誤差が出やすいと言われています。テニスのようにラケットを振る動作が多い競技では、常に完璧な数値が出るとは限らないという前提を持ちつつ、練習全体の傾向を見る使い方をするのが現実的です。より高い精度を求める場合は、胸部に装着する外部心拍センサーとBluetooth・ANT+で連携できるモデルを選ぶという方法もあります。
「ランニングモード」ではなく汎用モードで記録する
多くのGPSウォッチには、ランニング・サイクリング・スイミング・ゴルフなど、あらかじめ用意された「スポーツプロファイル」が数十〜100種類以上搭載されています。ただし現時点で、主要メーカーの製品に「テニス」という専用プロファイルが用意されていることはまれです。
ここで注意したいのは、テニスの練習を記録するときに、専用モードがないからといって「ランニング」のプロファイルで代用しないことです。ランニングモードは歩幅やケイデンス(歩数のリズム)をもとにペースや距離を推定するアルゴリズムが組まれていることが多く、テニスの多方向の動きに当てはめると、実際とかけ離れたペース表示になりやすいためです。
代わりにおすすめなのは、「その他(Other)」や「フリートレーニング」「有酸素運動」といった、GPSのペース計算にあまり依存しない汎用的なモードです。これらのモードであれば、心拍数・経過時間・大まかな消費カロリーといった、テニスでも参考にしやすいデータを中心に記録できます。
モデルによっては、練習後にアプリ上で運動の種類を後から選び直せたり、心拍ゾーン(強度の目安となる心拍数の範囲)を表示できたりする機能もあります。購入前に、汎用モードの使いやすさや、アプリでのデータの見やすさも確認しておくと、実際に使い始めてからのギャップが少なくなります。
一部のモデルでは「バドミントン」「スカッシュ」のように、テニスと動きの性質が近い室内球技のプロファイルが用意されている場合もあります。もし手持ちの候補にそうしたプロファイルがあれば、テニスの練習記録としても比較的近い設定で使える可能性があるため、選択肢の一つとして覚えておくとよいでしょう。ただし、これも専用設計ではない以上、あくまで参考程度に捉えておくのが無難です。
耐衝撃性・防水性・視認性 — ランニング用途以上に気にしたいポイント
GPSの精度や心拍センサー以外にも、テニスでの使用を考えるなら確認しておきたい項目があります。いずれもランニングではそこまで意識されないものの、テニス特有の動きや環境によって重要度が上がるポイントです。
これらの項目は、ランニング用のレビュー記事や比較サイトではあまり大きく扱われない傾向があります。ランニングでは腕を大きく前後に振る程度で、テニスのような瞬間的な強い衝撃が加わる場面は多くありません。そのため「ランニング向けのおすすめランキング」を参考にGPSウォッチを選ぶと、耐衝撃性の観点が抜け落ちてしまうことがある点には注意しておきたいところです。
実際にどの程度の耐衝撃性が必要かは、プレーの激しさや頻度によっても変わります。週末に軽く楽しむ程度であれば、防水性能や視認性を優先して選んでも大きな問題はないでしょう。一方、部活動や本格的な練習で週に数回コートに立つ人は、耐衝撃規格の有無を選定基準の一つに加えておくと、時計を長く使い続けやすくなります。
心配であれば、テニス専用のリストバンドやアームスリーブの上からGPSウォッチを着ける、あるいはラケットを握る側の手首を避けて反対の手首に着けるといった工夫でも、衝撃を受けるリスクをある程度減らせます。特に高価なモデルを選んだ場合は、こうした着け方の工夫もあわせて検討しておくと安心です。
■ 耐衝撃性
サーブのフォロースルーで腕を強く振り抜く、ラケットのグリップと手首が接触する、転倒してコートに手をつくなど、ランニングよりも腕時計に衝撃が加わりやすい場面が多いスポーツです。MIL-STD-810のような耐久規格に準拠しているモデルや、G-SHOCKのような耐衝撃構造(ショックレジスト)をうたうモデルであれば、より安心して使えるとされています。
■ 防水性能
大量の汗や小雨程度であれば、5ATM前後の防水性能でも実用上は問題ないとされています。本格的なスイミングを日常的に行うのでなければ、極端に高い防水等級を最優先で選ぶ必要はありません。ただし「生活防水」程度の表記にとどまるモデルは、汗のかき方によっては注意したほうがよい場合があります。
■ ディスプレイの視認性
屋外の炎天下でプレーする機会が多いテニスでは、直射日光の下でも数字がはっきり読み取れるかどうかが地味に重要です。有機ELやAMOLEDのディスプレイは発色が鮮やかな一方、屋外での視認性はモデルや明るさ設定によって差があるとされ、購入前にレビューなどで確認しておくと安心です。
■ バンドの通気性・フィット感
プレー中は大量に汗をかくため、通気孔のあるシリコンバンドや、汗をかいてもズレにくいバックル構造かどうかも、長時間の練習では体感の差につながりやすいポイントです。
選び方の3ステップ
ここまでの内容を踏まえて、実際にGPSウォッチを選ぶ手順を3つのステップに整理しました。順番に確認していくと、スペック表の数字に振り回されずに、自分の使い方に合ったモデルを絞り込みやすくなります。
- 1自分がGPSウォッチに何を求めているかを決める。「テニスの練習中の心拍数と練習時間さえ記録できれば十分」なのか、「テニス以外のランニングや登山、日常の健康管理にも本格的に使いたい」のかによって、検討すべき価格帯やスペックの幅がかなり変わります。後者であれば、多機能・高精度なモデルを検討する価値があります。
- 2心拍センサーの有無と耐衝撃性を確認する。テニスでの活用を重視するなら、光学式心拍センサーを搭載しているか、そして耐衝撃規格や耐衝撃構造についての記載があるかを商品ページでチェックしておくと、購入後のミスマッチを避けやすくなります。
- 3稼働時間と汎用スポーツモードの使いやすさを比較する。週に何回、何時間練習するかを踏まえて、充電の頻度が生活に合うかを確認しましょう。あわせて「その他」「フリートレーニング」のような汎用モードが用意されているか、アプリでのデータの見やすさも比較しておくと、実際にテニスで使ったときの満足度に直結します。
「テニスモード」がなくても心配しすぎなくてよい
テニス専用のスポーツプロファイルがないことは、そのモデルがテニスに使えないという意味ではありません。汎用モードで心拍数・時間・大まかな運動量を記録するという使い方であれば、多くのGPSウォッチで十分に実用的に活用できます。専用モードの有無よりも、心拍センサーの精度や耐衝撃性のほうを優先して選ぶことをおすすめします。
型落ち・旧モデルという選択肢
ここまで紹介してきたモデルはいずれも現行の最新モデルですが、GPSウォッチは新モデルが登場するたびに、型落ちとなった旧モデルの価格が下がる傾向があります。予算を抑えたい場合は、あえて型落ちモデルを検討するのも一つの方法です。
たとえばガーミンのInstinctシリーズやポラールのVantageシリーズは、数年おきに新モデルが登場しており、型落ちとなった旧モデル(Instinct 2やVantage M2など)が、セールやアウトレットで新モデルより数割安く販売されていることがあります。心拍センサーやGPSの基本的な精度は新モデルと大きく変わらないことも多く、最新の追加機能にこだわらないのであれば、型落ちモデルは十分に検討する価値があります。
ただし型落ちモデルを選ぶときは、いくつか確認しておきたい点があります。まずバッテリーの劣化です。在庫期間が長い商品や中古品は、充電池の消耗が進んでいる場合があり、公称の稼働時間より短くなっていることがあります。可能であれば販売店に製造時期や保証の有無を確認しておくと安心です。
また、旧モデルは対応するスマートフォンのOSバージョンや、アプリの最新機能に一部対応していないことがあります。特に発売から数年が経過したモデルの場合、購入前にメーカーの公式サイトで現行のサポート状況を確認しておくと、購入後に「使いたい機能が使えなかった」という後悔を避けられます。
型落ちモデルは、メーカー公式のアウトレットページや、正規販売店のセールコーナーで見つかることが多いです。フリマアプリなどの個人間取引でも安く手に入ることがありますが、バッテリーの状態や保証の有無が分かりにくいため、価格の安さだけで判断せず、出品情報をよく確認したうえで検討することをおすすめします。
テニス以外の場面でも役立つ機能を確認しておく
GPSウォッチは決して安い買い物ではないため、テニスの練習以外の場面でも活用できるかどうかは、購入を検討するうえで気になるポイントだと思います。
多くのモデルはスマートフォンと連携し、着信やメッセージの通知、天気予報の確認、音楽の再生操作といった機能を備えています。テニスの練習前後の移動時間や、日常生活の中でも自然に活用できるため、テニス専用の道具というよりは「普段使いできる腕時計」として選ぶ視点も持っておくと、購入後の満足度が上がりやすくなります。
ガーミンのInstinct 3のようにSuicaなどの電子マネー機能に対応しているモデルであれば、テニスコートへの移動中の交通機関の利用や、練習後にコンビニへ立ち寄る際にも腕時計だけで支払いを済ませられます。財布やスマートフォンを持ち歩く手間が減る点は、実用面での地味なメリットです。
一方で、通知や決済といったスマート機能を多く使うほど、バッテリーの消耗は早くなる傾向があります。テニスの練習日にはGPSと心拍計測をメインに使い、それ以外の日は省電力モードに切り替えるなど、用途に応じて設定を使い分けると、稼働時間と機能性のバランスを取りやすくなります。
家族でテニスを楽しんでいる場合は、睡眠トラッキングや日々の活動量(歩数・消費カロリー)といった、テニス以外の健康管理機能が家族それぞれの生活スタイルに合っているかどうかも、購入前に確認しておくとよいでしょう。テニスの練習日以外にも毎日身につける前提で選ぶと、結果的に長く使い続けやすくなります。
使い始めてから気をつけたいこと
GPSウォッチは購入して終わりではなく、使い方次第でデータの精度や使い勝手が変わる道具です。特にテニスでの活用を考えている場合、見落としがちなポイントをいくつか挙げておきます。
まず装着位置です。心拍センサーは手首の骨から指2本分ほど上に、きつすぎず緩すぎない程度にフィットさせて着けると、計測精度が安定しやすいとされています。プレー中に汗で緩んでズレてしまうと、心拍数が実際より低く、あるいは不安定に表示されることがあるため、練習前にベルトの締め具合を確認しておくと安心です。
次に充電・電池管理です。光学式心拍センサーを常時起動していると、バッテリーの消耗が早くなる機種もあります。練習の予定に合わせて、前日までに充電を済ませておく、あるいは電池式モデルであれば電池残量の表示をこまめに確認しておくと、いざ練習という日に電源が入らないというトラブルを避けられます。
最後にデータの見方です。GPSウォッチの多くは専用アプリと連携し、練習ごとの心拍数の推移やトレンドをグラフで確認できます。1回の練習の数値だけで判断するのではなく、数週間〜数ヶ月単位でのトレンドを見て、回復の早さや練習強度の変化を振り返る使い方のほうが、テニスの練習管理としては実用的です。
また、他のスポーツと兼用する予定がある人は、購入前にそのスポーツ向けの機能(水泳ならラップ計測、ランニングならペース表示など)が十分かどうかもあわせて確認しておくと、テニス以外の場面でも長く使い続けやすくなります。
バンドについても触れておきます。標準で付属しているシリコンバンドは消耗品で、汗や紫外線の影響で徐々に硬化したり、変色したりすることがあります。肌荒れやニオイが気になるようになったら、バンドだけを交換できるモデルであれば、社外品も含めて交換用バンドを検討してみるとよいでしょう。時計本体を買い替えなくても、装着感をリフレッシュできます。
よくある質問
Qテニスの練習でGPSウォッチを使うと、具体的に何がわかりますか?
A主に心拍数の推移、練習時間、消費カロリーの目安、そして加速度センサーによる大まかな運動量です。GPSによる正確な移動距離や歩数は、テニスコートのような狭い範囲での細かい移動には向いておらず、参考値として捉えるのがおすすめです。
Qランニングウォッチをそのままテニスに使っても大丈夫ですか?
A基本的な心拍計測や時間計測は問題なく使えます。ただし「ランニングモード」で記録すると、ペースや距離のデータが実際の動きと合わないことがあるため、「その他」や「フリートレーニング」系の汎用モードで記録することをおすすめします。
Qテニス専用のGPSウォッチはありますか?
A現時点で「テニス専用」をうたう主要メーカーのGPSウォッチはほとんど見当たりません。多くはランニングやマルチスポーツ向けに設計されたモデルの中から、心拍計測の精度や耐衝撃性、汎用モードの使いやすさで選ぶことになります。
Q心拍数を測る意味は何ですか?
Aテニスは短い運動と休憩を繰り返す競技のため、ポイント間でどれだけ心拍数が回復しているかが体力づくりの目安になります。同じ強度の練習でも、回復が早くなってきたかどうかを継続的に確認できるのが心拍計測の主なメリットです。
Q耐衝撃性はどのくらい気にすればいいですか?
Aラケットを強く振る、コートに手をついて転ぶといった場面を考えると、ランニング用途よりも衝撃を受けやすい競技です。MIL-STD-810のような耐久規格や、G-SHOCKのような耐衝撃構造をうたうモデルであれば、より安心して使えるとされています。
Q防水性能はどの程度あれば十分ですか?
A大量の汗や小雨程度であれば、5ATM前後の防水性能でも実用上は問題ないとされています。本格的なスイミングを日常的に行うのでなければ、極端に高い防水等級を最優先で選ぶ必要はありません。
Q予算はどれくらい見ておけばいいですか?
A今回紹介した4本は2万円台前半から8万円弱まで幅があります。まずは価格を抑えて試したい場合は2万円台のモデルから、心拍計測の精度や耐衝撃性を重視するなら4〜8万円程度のモデルを検討するとよいでしょう。
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